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【朝晴れエッセー】ホットオレンジ・5月24日

 雨をみると、35年前のことを思い出します。ある雨の日に小学6年生の姉が、ずぶぬれの女の子の友達を連れて帰ってきました。

 聞くと、友達の家の鍵が閉まっていて中に入れず、雨のなか家の前でずっと待っていたところ、姉が声をかけて連れて帰ってきたのです。母親が心配そうにタオルで拭いた後、姉の部屋で待つことにしました。

 知らぬ間に出掛けた母親が戻ってきたと思うと、手には当時大人気の炭酸のオレンジジュース。そのまませかせかと台所に入っていくと、しばらくしてコーヒーカップから湯気が出ている飲み物を持って姉の部屋へ行きました。

 すると姉の部屋から驚いた声が聞こえてきました。なんと炭酸の入ったオレンジジュースを温めて出していたのです。母親は、寒そうな友達を見て温かい飲み物をと思ったがホットミルクでは喜ばないと思い、その当時大人気のファンタオレンジを買い、温めようと思ったらしい…。

 姉は恥ずかしそうに謝っていたが、友達は「ありがとう」と笑顔でホットオレンジを飲んで、楽しそうに話していた。

 友達が帰る時間になったとき、玄関先で姉がまた恥ずかしそうに謝っていた。すると友達はまた笑顔で「ううん、その気持ちが本当にすごく嬉しかったよ。本当にありがとう」と言って帰っていった。私はすごく嬉しい気持ちになりました。

 見送った後、テレビの部屋に戻り、母と姉と私でその話をしながら笑って、余っているホットオレンジを3人で飲みました。

 今でもあの時のことを思い出し幸せな気持ちになります。

瀧本雷太(42) 奈良県斑鳩町

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