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【直球&曲球】葛城奈海 口先だけの抗議で尖閣は守れない

葛城奈海
葛城奈海

 10日付本紙1面(東京版)に「中国公船、日本船を追尾」「尖閣領海 厳重に抗議」という見出しが躍った。読み進むと日本漁船が接近、追尾されるのは「平成20年に中国船が尖閣周辺で確認されるようになってから2回目」とあった。そんなはずはない。私が石垣島の漁師らとともに尖閣領海に行っていた25年に複数回、同様の経験をしている。怪訝(けげん)な思いをSNS(会員制交流サイト)等(とう)で発信していたら、翌日、海保は回数を4回に訂正した。単純な数え間違いだったのだろうか。

 25年11月に中国が尖閣上空に防空識別圏を設定して以来、NHKや共同通信などの報道ヘリが飛ばなくなった。翌26年には、われわれジャーナリストが漁師と尖閣海域に向かうといえば、出港すら許可されなくなった。空からも海からも民間の目が入らなくなり、メディアは国の機関の発表に頼らざるを得ないのが実情だ。以来、仮に国が恣意(しい)的な発表をしようとすれば可能な状況になっていることを危惧し続けてきた。

 22年9月の尖閣漁船衝突事件の折もそうだったが、中国と事を荒立てたくない政府は弱腰の対応に終始している。その姿勢は政権が民主党から自民党に移っても、あきれるほどに変わらない。そんな日本を嘲笑するかのように、中国は厚顔の度を増し続け、このままではやがて竹島同様、「日本の領土」とは名ばかりの島になるであろう。

 漁船衝突事件の後、当時の石原慎太郎東京都知事のリードで尖閣を都が購入しようとした際に集まった14億円超の寄付が、国有化で宙に浮いた。それを国に託すため、都が提案要求を行っていることは、あまり知られていない。

 そこには、「ヤギの被害から貴重な動植物を守ることや、海岸漂着物の処理などにより自然環境を保全し、また、地元漁業者のための船溜(だま)りや無線中継基地(中略)といった地元自治体が強く要望する施設を設置する」など、戦略的有効活用が求められている。

 口先だけの抗議で国は守れない。本気で尖閣を守ろうとするなら、政府は中国との軋轢(あつれき)を恐れることなく、しっかりと対峙(たいじ)し、都の提案も真摯(しんし)に検討すべきである。

【プロフィル】葛城奈海

 かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長。著書(共著)に『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)。

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