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【主張】改正案見送り 検察のあり方本格議論を

安倍晋三首相(左)と二階俊博幹事長=3月17日、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)
安倍晋三首相(左)と二階俊博幹事長=3月17日、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

 政府・与党は検察庁法の改正案について、今国会での成立を見送った。野党や世論の批判に加えて検察OBからの反発も相次ぎ、採決を強行すれば大きな政治問題化する可能性があった。

 安倍晋三首相は自民党の二階俊博幹事長との会談で「国民の声に耳を傾け、理解なしでは前に進めない」との意見で一致した。

 改正案をめぐる国会での議論は全くかみ合わないままだった。国民の理解は得られていない。見送りの判断は妥当だろう。この機に検察のあり方について本格的な議論を深めるべきだ。

 検察庁法の改正案は、検察庁法と国家公務員法を一本化した「束ね法案」として国会に提出され、衆院内閣委員会で審議された。定年延長は昨秋にも提示されており誰も反対していない。

 議論が紛糾したのは、今春に加えられた特例をめぐってだ。これにより、内閣や法相が認めれば検事総長の定年延長や幹部検察官の職務延長が可能となった。

 昨秋と今春の間に何があったか。それは今年1月、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定で決めた異例の措置だ。

 特例が加えられたのはこの直後である。政府がいくら「黒川検事長の人事と検察庁法改正案は無関係」と強弁しても、理解は得られなかった。

 政府側が「特例による恣意(しい)的人事はない」と反論しても、黒川氏の定年延長で内閣による属人的措置をみた後では、これを信用することは難しい。

 一方で、野党の「三権分立に反する」といった批判や、検察OBらのあたかも「指一本触れさせない」と取れる姿勢も極端だ。

 検察官も一般公務員であり、検事総長などの人事権はもともと内閣にある。検察官はまた、起訴権をほぼ独占する準司法官の性格ももつ。2つの異なる性格のはざまでどちらかが百パーセントということはない。

 特例規定の議論は本来、そうした検察官のあり方そのものが問われるべきだった。

 森雅子法相は特例規定の要件について内閣委で、「現時点で具体的に全て示すのは困難だ」と述べた。これでは議論にならない。

 要件の明示は検察官のあり方を問うことだ。検察庁法の改正論議は、政府が特例要件を示すところから再開すべきである。

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