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ニュース コラム

【朝晴れエッセー】母親たちとの文通・5月19日

 毎週、80人を超える高齢者の人たちにパソコンを教えて16年がたつ。

 嫁の愚痴を聞く、俳優の名前を聞かれる、美味(おい)しいお店を教える、リモコンの電池を換えるなど、先生の仕事は多岐にわたる。

 3月、コロナ禍で施設が閉まり、毎週あった教室をしばらくお休みすることにした。パソコン教室なのだから、オンラインで授業するのが当然だが、改めて考えた。一人一人といつものように繋(つな)がりたいと。

 そして思いついたのは、文通だ。

 課題を作り、2日がかりで80通以上の手紙を書いた。思ったよりも返事が来た。手紙には彼女たちの今の生活、見えない感染症に対する不安、明け方にこっそりする散歩のこと、私への心配などいろいろなことが書かれており、通常の生活、教室の再開、また再会を願う気持ちが綴(つづ)られていた。

 添削してお返事とともに、次の課題を入れて、切手を貼って、ポストに投函(とうかん)することを続けている。

 母親との縁が薄かった私に、こんなに大勢の母親たちが手紙を送ってくれる。先生と呼んでくれているが、母親というものを教えてくれて、私はいつも支えられていたのだなあと今更ながら思う。

 朝、ポストを開けると母親の愛が詰まった手紙がたくさん入っている。休みはもう2カ月以上になるが、コロナが収束するまで、この文通生活、もう少し続いてもいいなと思っている。

前田枝里 52 大阪市東淀川区

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