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【直球&曲球】中江有里 個人の時間を持つことの大切さ

DV被害がある家庭の児童に対し、学習支援を行う支援団体の職員=4月17日、横浜市
DV被害がある家庭の児童に対し、学習支援を行う支援団体の職員=4月17日、横浜市

 外出を控える日々。親知らずが痛み、かかりつけの歯科へ出かけた。腫(は)れが引くまでは抗生物質と痛み止めを服用することに。いずれは抜かなければならないが、この現状では抜歯ができない。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、病院では緊急ではない手術は延期をしていると聞く。親知らずの抜歯は延期できるが、私の身内にも重篤な病気の患者がいる。病状の重い方は通院しないわけにいかない。

 各地の病院によって事情は違うだろう。病気はある日突然罹(かか)るもので、今日健康だからといって明日そうである保証はない。私自身、昨年思いがけない病を得て、手術のため入院をした。幸い予後は順調で、3カ月おきの経過観察を続けている。

 1年前なら、ちょっとした不調を覚えて、すぐ病院へ行けた。今は本当に病院へ行くべきなのか、と考える。医療体制の負担にならないか、感染のリスクもある。件の身内は治療を休めば病が進行してしまうので、気をつけながら通院している。

 当たり前が当たり前でなくなった時代に、これまで見えなかった問題があらわになっているが、隠れたままになっていることもある。

 自宅生活で家族と過ごす時間が長くなっているのが、その一つ。他者とは距離を置くことが当たり前になっているのに、家族だけは例外。ドメスティックバイオレンス(DV)で苦しんでいる人の声は外に出にくい。

 そばに加害者がいては、誰かに相談するのも難しく、愚痴を言う場も失われている。被害者の多くは経済的弱者の妻や子供だ。非常時は誰もがストレスをためている。一方がストレスを相手にぶつければ、もう一方は逃げ場がない。ステイホームにはこうした弊害がある。

 たとえ問題がない家庭であっても、家族が1日中顔を合わせていれば、ぶつかることもあるだろう。息抜きに家を出るのは難しい今、個人の時間を持つことは大切である。

 たとえば本はその道具になる。読書は誰かといても、1人でなければできない。自分だけの時間をつくるのに、便利に使ってほしい。

【プロフィル】中江有里

なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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