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【一筆多論】許されない恣意的な拘束 佐々木類

袁克勤・北海道教育大教授が拘束されている長春第三看守所に中国国内の親族が衣類の差し入れをした際に看守所から発行されたという受領書(長男の袁成驥さん提供)
袁克勤・北海道教育大教授が拘束されている長春第三看守所に中国国内の親族が衣類の差し入れをした際に看守所から発行されたという受領書(長男の袁成驥さん提供)

 北海道教育大の袁克勤(えん・こくきん)教授(64)が囚われたままだ。中国国内法の反スパイ法に違反した容疑だ。

 昨年5月に行方不明になってから10カ月も経過した今年3月下旬、中国政府が袁氏を取り調べ中であると初めて認めた。スパイ容疑というが、何一つ明らかになっていない。

 法の支配に名を借りた問答無用の身柄拘束だとしたら、著しい人権侵害だ。証拠も開示せずに、だれが信用できるというのか。

 袁氏の不透明な身柄拘束は、日中の学術交流のみならず、2国間関係全体にも暗い影を落とすだろう。

 袁氏は東アジア国際政治史が専門で、平成元年に起きた中国・天安門事件の際に民主化運動に注力した闘士として知られる。

 中国・吉林大卒業後、一橋大で修士、博士号を取得し、6年から四半世紀にわたって北教大一筋に教鞭(きょうべん)をとってきた。日本の、とりわけ北海道の大自然に魅せられた。何よりも、日本では言論の自由、学問の自由が保障されている。

 「父はこの自由が気に入っていた」とカナダに住む長女の袁●(けい)さんが、国際電話による取材に対し語ってくれた。医療従事者の●さんは、新型コロナウイルス対策で激務の日々が続いている。●さんは「証拠も開示しないまま拘束を続けるのは、何らかのシナリオに沿って父を有罪にしようとしているとしか思えない」とも語った。

 袁氏は吉林省での実母の葬儀に参列後、妻と路上を歩いていたところを「何者か」に車の中に押し込められたという。後に釈放された妻から話を聞いた●さんら家族によると、夫妻は最初、自分たちの身に何が起きたのか理解できなかった。施設に収容されて初めて、公安当局に強制連行されたと知ったという。

 中国外務省の耿爽報道官は3月26日の会見で、袁氏が「犯罪事実に対して包み隠さず自供している」と述べ、「証拠は確かだ」と主張している。現在は、検察機関が起訴の可否を判断するための捜査を進めているといい、「刑事手続き上の権利は十分に保障されている」と付け加えた。

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