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【日曜に書く】論説委員・長戸雅子 PTSDの先にあるもの

阪神大震災で横倒しになった阪神高速道路=平成7年1月17日
阪神大震災で横倒しになった阪神高速道路=平成7年1月17日

 この分厚い雲を突き破れば、これまでとはまた違う青空が広がっている。雲外に蒼天あり。そう聞かされたとしても体は動かない。雲は厚く重く、そもそもなぜ自分の上に覆いかぶさっているのか理解も納得もできない-。災害や犯罪などで大切な人や大切な日常を突然失う。こんな理不尽な目にあった人なら誰もがそう思うだろう。

 6400人以上が犠牲になった阪神大震災、世界で初めて大都市部で化学兵器が使用された無差別テロ、地下鉄サリン事件から今年で四半世紀となった。2つの惨事をきっかけに日本社会には「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」という言葉が定着した。最近、PTSDの先にあるとされる「心的外傷後成長(ポスト・トラウマティック・グロース=PTG)」について知る機会があった。

PTGという概念

 PTGとは、非常な困難と苦しみの中から心理的な成長が体験されるプロセスと結果のことをいう。

 惨事ストレスに詳しい松井豊筑波大名誉教授によると、ストレス関連性成長などPTGに類似した考え方やそれを示すエピソードは以前からあるが、PTGという考え方でまとめられるようになったのは1995年前後の米国だという。日本では2000年過ぎぐらいから研究が出ているそうだ。

 しかし、深い心の傷を乗り越えられるのは強靱(きょうじん)な精神を持つごく一部の人に限られるのではないだろうか。

 松井氏は「PTGがどれぐらいの割合で生じるかについては、7割との研究結果もあれば3割にとどまるという結果もあります」と指摘し、「『心に傷を負った人はみんな成長するはずだ』という思い込みは持たないでください」と忠告する。

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