PR

ニュース コラム

【新聞に喝!】こんな時こそ前向きに インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋

 東京都の受動喫煙防止条例を受けて、カフェ店内に設置された喫煙室=東京都品川区
 東京都の受動喫煙防止条例を受けて、カフェ店内に設置された喫煙室=東京都品川区

 緊急事態宣言が延長され、先が見えない状態に疲弊感はさらに膨らむ。当然、新聞報道の大部分は、いまだ目下の新型コロナウイルス関連ニュースによって占められる。そのため、北朝鮮のミサイル発射実験、中国の海洋膨張政策など、平常時ならばもっと紙面が割かれるニュースもおのずと小さい扱いとなる。

 同様に、ポーランド、ハンガリー、あるいはセルビアなどの指導者たちが、コロナ禍に便乗して民主主義を後退させているとの簡単な報道はあっても詳細はよく分からない。独裁強化を一気に進める中央アジア諸国の実態ともなれば、その様相はさらに見えてこない。

 こうして新型コロナによって扱いが小さくなったニュースの中で、個人的に気になったものが2つある。まずは、先月1日にひっそりと施行された受動喫煙対策を盛り込んだ罰則付きの改正健康増進法だ。コロナ関連で政府の自粛要請は生ぬるいという声が聞こえてくるが、禁煙政策でさえも日本は十分生ぬるい。一部与党議員の抵抗により、世界の潮流からはかけ離れた極めて中途半端な規制になってしまったからだ。新型コロナは肺胞を侵す。つまり、肺が健康でなければ命にかかわる重大な問題になりかねない。

 次いで、これもまたひっそりと過ぎた同22日の「アースデー(国際母なる地球の日)」だ。コロナ禍で世界経済活動が停止する中、各国主要都市のスモッグは大幅に減少したとのこと。これはわれわれの日頃の経済活動がいかに地球環境問題に密接に関係しているのかを如実に物語っているが、大気汚染も肺に被害を及ぼす。だが、問題が収束すれば各国は現行の環境保護法を緩和してまで経済活動の再開を最優先させ、その反動で大気汚染がはるかに深刻になるのは容易に想像できよう。

 行動が遅い、出口戦略が見えない等々、現政権を批判するメディアの声は日増しに大きくなっている。むろん民主主義国家においてこうした批判は大切だが、他方ポストコロナの世界を見据え、次のパンデミックに備えるため、健全な国民によって支えられた堅牢(けんろう)な国家となるよう社会をより良い方向に導くのもまた新聞の使命ではなかろうか。

 ならば、批判に終始するのではなく、このような状況下だからこそ、人々の健康のみならず、地球環境を踏まえた前向きな国策を訴え、トンネルの向こうに見える一筋の希望の光になってほしい。

【プロフィル】簑原俊洋

 みのはら・としひろ 昭和46年、米カリフォルニア州出身。カリフォルニア大デイビス校卒。神戸大大学院博士課程修了。博士(政治学)。同大学院法学研究科教授。専門は日米関係、国際政治。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ