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【日曜に書く】論説委員・山上直子 文化の「貯金」を増やすには

 「日本の文化って、江戸時代にためて、その貯金をきれいに使い果たしちゃったんですよ」

 言い得て妙な。俳優で劇作家、演出家、エッセイストとマルチな活躍で知られる、わかぎゑふさんの言葉に刺激を受けた。

 新型コロナウイルスの影響で演劇業界も大変ですね…などと近況を聞いたら、そんな話になったのである。公演はことごとく中止となり、稽古もできない日々が続いている。若手は演劇どころか、アルバイト先もなくなっているそうだ。

 日本の文化行政はよく批判されてきたが、今回は各国の文化度が試されている。

ぜいたく品でなく

 ようやく日本でも少し、フリーランスの人や芸術家の支援策を打ち出す自治体が出てきた。世界に強い印象を残したのはやはり、ドイツのグリュッタース文化相のこの発言だ。

 「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」

 ウイルスの脅威にさらされている今だからこそ、体と心の健康を保ちつづけるために芸術は必要だと言ったのである。

 さらにうならされたのは、「文化は良き時代においてのみ享受されるぜいたく品などではないと認識している」というコメントだった。

 常に身近に音楽やアートがあり、子供のころから日々親しんでいるからこそ言える言葉だろう。そうしたら、わかぎさんがこんなことを言ったのだった。

 「空間のでっかいものを演出してみたいんです。でも、日本にはそれができる機会が少ない。だから、できる演出家も育たない。ヨーロッパにはいっぱいいるのに」

 大きな空間といえば、町全体を会場にした音楽会や展覧会、演劇といったイメージ。オリンピックや万博などの世界的イベントはその最たるものだろうが、なぜ?

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