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【一筆多論】マスクの下心を警戒せよ 岡部伸

 瞬く間に世界中に感染が広がった新型コロナウイルス。パンデミック(世界的大流行)震源地となった欧州でグローバリズムの落とし子の欧州連合(EU)が苦境に立たされている。

 「ヨーロッパは一つ」の看板ゆえに国境審査なしに人が移動できることが感染拡大の一因となった。ところが、イタリアで感染が蔓延(まんえん)すると、どの国も瞬く間に国家主義へと転じ、国境を閉じた。医療品の共同調達や被害国の経済支援のコロナ債発行でも足並みがそろわない。共同体の結束どころか、EUは、「創設以来の試練」(メルケル独首相)を迎え、感染封じ込めにてこずり都市封鎖を解除できないでいる。分断が続けばコロナ後の欧州に力の真空地帯ができるだろう。

 そんな力の空白が生まれる欧州に医療支援で“侵入”しているのが中露だ。

 中国は、「医療崩壊」したイタリアに3度、医療チームを送った。先進7カ国(G7)で初めて一帯一路推進覚書を締結した蜜月を誇示した。医療用マスク、人工呼吸器が寄付されるとセルビアのブチッチ大統領は「欧州に団結は存在しない。助けられるのは『兄弟』中国だけ」と語り、欧州の足並みの乱れを露呈。台湾問題で反中だったチェコは、中国が110万枚マスクと人工呼吸器を空輸すると、親中に豹変(ひょうへん)した。

 127カ国に38億枚のマスクや医療品、医師団を送ったとする中国の「マスク外交」は本来、称賛されるソフトパワーだ。しかし、医療物資に不具合が相次いで判明し、「政治的影響力を強めようと援助を利用している」(フランスのドモンシャラン欧州問題担当相)との警戒が広がる。

 ウイルス発症地の汚名に加え、初期対応が遅れ、世界にウイルスを拡散させた批判をかわす下心があるのだろう。強権体制で感染を封じ込めた中国が「米欧の民主主義モデルより優秀」と宣伝する狙いも滲(にじ)む。

 実際に中国共産党系の環球時報は、「感染対策で中国が段階的勝利を収めた」「コロナが他国を助けられない米国の世紀を終わらせた」と自賛する。

 さらにロシア政府がイタリアに派遣した医療チームにロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のスパイがいると化学兵器専門家がイタリア紙で証言し、ロシア支援にも警戒が深まる。

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