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【日曜に書く】論説顧問・斎藤勉 50年前の「無観客試合」

大阪球場は平成10年に解体され、今は都市型複合施設「なんばパークス」に変身した=大阪市浪速区
大阪球場は平成10年に解体され、今は都市型複合施設「なんばパークス」に変身した=大阪市浪速区

◆野球狂には辛過ぎる春

 私事で恐縮だが、私の大学時代はベトナム戦争を契機に「反戦・反米」機運が高揚していた「70年安保」の頃だ。ロシア語を専攻した(ことになっている)東京外国語大でも左派・全共闘(全学共闘会議)運動が吹き荒(すさ)んでいた。私も学生運動をしていた。ちっぽけな硬式野球部の投手である。ただ、全共闘の連中が大学当局との交渉決裂で正門を強引にバリケード封鎖したときなど、野球部有志で抗議に押しかけたりしていた。

 小学時代から根っからの野球狂だった。埼玉の高校では当然ながら甲子園を目指したが、チームの実力がとても及ばないと悟るや、軟式野球部に転じた。だからその分、大学では硬式野球に打ち込もうと決めた。

 新型コロナウイルス禍の世界は、あらゆるスポーツが崩壊の様相を呈している。野球狂にとって視界から野球を奪われた今年の春は辛過(つらす)ぎる。ちょうど1カ月前の3月19日に開幕予定だった選抜高校野球は中止、プロ野球も米大リーグも大学野球も開幕が延期されたまま、先行き不透明の状態が続いている。

◆センバツ中止の無念

 そこに1週間前の12日、台湾のプロ野球が無観客試合で世界最速で開幕したとの報が飛び込み、気もそぞろになった。今更言っても詮無きことだが、センバツは開催側が当初、「無観客試合を前提に」準備すると発表していただけに、改めて無念さが募る。出場校だった花咲徳栄(埼玉)は本番代わりに自校で開幕式の疑似行進を行ったという。甲子園の「すべての試合を見ていた」作詞家の阿久悠さんは、センバツの球児たちを春の「生命(いのち)の芽」と呼んで愛(いつく)しんだ。その「芽」を摘んでしまった今年はいかにも惜しい。もちろん、選手や全ての関係者の命と健康に最大限留意した結果の中止決断は理解できるし、台湾はコロナ押さえ込みでかなりの成果を収めている事情もある。

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