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【直球&曲球】野口健 国難を乗り切れば強くなれる

ケニア初の新型コロナウイルス感染者の自宅を訪れた保健当局ら=3月14日、ナイロビ近郊(ロイター)
ケニア初の新型コロナウイルス感染者の自宅を訪れた保健当局ら=3月14日、ナイロビ近郊(ロイター)

 中国から始まった新型コロナウイルス。心配なのは医療体制が脆弱(ぜいじゃく)なアフリカだ。水そのものの確保が困難な地域も山ほどある。手が洗えないのだ。アフリカでの感染実態はまだ把握されていない。報道での感染者数は少ないが、実態にそぐわないだろう。

 ケニアでは外国人観光客の大半が中国人。ヌーの大移動よりも彼らの方が目立つ。また道路や鉄道建設など大量の中国人労働者がアフリカに滞在している。イタリアの悲劇は、中国依存に舵(かじ)を切り「一帯一路」に踏み込んだ代償だとすれば、アフリカの現状も同じだ。感染拡大すれば被害が最も深刻な地域になるだろう。アフリカが危ない。

 幸いなことに日本では死者数の抑え込みに現段階では成功している。しかし、油断は禁物だ。戦後、日本は一度も戦争や内乱を経験していない。平和な時代が続き、いつしか平和が当たり前のものとなった。政府もそう、国民もそう。世界と比較すれば、はるかにハードルの低い強制力をごく一分野にしか有しない要請ベースの「緊急事態宣言」の発令ですら躊躇(ちゅうちょ)し、タイミングが遅れた。

 米ニューヨーク州はカリフォルニア州より4日間ほど外出制限命令を出すのが遅れた。その4日間の差で両者の感染者数に大きな違いが生まれている。1日の判断の遅れで多くの人が死ぬのだ。

 コロナショックで課題も明らかになった。中国依存が突出している日本の観光業。強制力を有した外出禁止令、いわゆる世界各国が行っているロックダウンが行えないこと。日本では「独裁だ」との声もあるが、非常事態に陥った場合は迅速な決断力、それを可能とするには権限が必要。速やかに国会で議論し新たな法整備に着手すべきだ。

 平時に様々(さまざま)なケースを想定し有事に備える。その為(ため)の平時と心得た方がいい。災害を除けば、非常事態を経験してこなかった日本。今は試練の時であり、また国民国家としての在るべき姿が試されている。この国難を乗り越えられたら、この国は一つ強くなる。戦争を知らない我々(われわれ)世代はこの緊急事態から多くを学ばなければならない。

                   ◇

【プロフィル】野口健

 のぐち・けん アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題、戦没者遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍。著書に『震災が起きた後で死なないために』(PHP新書)。

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