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【風を読む】厚労省なんて要らない!? 論説委員長・乾正人

新型のウイルス性肺炎患者が国内で初めて確認されたことについて記者会見する厚労省の担当者=1月16日午前、厚労省
新型のウイルス性肺炎患者が国内で初めて確認されたことについて記者会見する厚労省の担当者=1月16日午前、厚労省

 いよいよ「緊急事態宣言」が、発令される運びとなった。戦後75年、この国には何度も危機が襲った。過去30年を振り返っても、平成7年の阪神大震災と地下鉄サリン事件、23年の東日本大震災と、いずれも日本を揺るがす大災害や大事件だったが、全国規模で住民に私権制限を強いる「緊急事態」が宣言されるのは初めてだ。

 ここは国民が、(安倍晋三首相が好きか嫌いかどうかは別にして)一致団結して難局を乗り切らねばならない。

 私も日課である飲み屋通いを自粛したい(政府には、大被害を受けている新橋をはじめ全国の赤提灯(ちょうちん)やスナックへの支援をぜひお願いしたい)。

 その上で、日本の統治機構が抱え込んできた欠陥があぶり出されている事実は、指摘しておかねばなるまい。

 憲法に緊急事態条項がないことが根源的な問題だが、憲法問題以前に感染症対策を国家安全保障問題として扱ってこなかったツケがまわったのだ。

 国家の脅威は、軍事的、経済的なものだけではない。目に見えないウイルスが、多数の死者をもたらすだけでなく、世界経済を麻痺(まひ)状態に陥れることもできるのを実証してしまった。

 首相官邸と厚生労働省の対応は、当初、後手後手にまわった。

 「ダメだろ、これは!」と最初に感じたのは、1月16日、日本で感染者が初めて発見された際、報道陣にみせた厚労省の対応である。

 記者団に「持続的な人から人への感染の明らかな証拠はない」として、「感染拡大の可能性は低い」との楽観的な見通しを示していたのである。

 この見方は、担当者の独断ではなかったはずだ。最初から「感染拡大」の危険性があるとの危機感を持っていたら、1月下旬から現在のような厳しい入国規制と、検疫体制を敷いていたはずである。政府全体が、新型コロナウイルスを甘く見ていたのである。

 しかもPCR検査の不備について、同盟国の米国から「検査が幅広く行われていないため感染率の評価が難しい」と不審の目を向けられる始末。

 感染症対策のエキスパートを集めた米疾病対策センター(CDC)の日本版を設置すべきときは、今しかない。有事に役に立たない厚労省なんて要らない。ちょっと言い過ぎたか。

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