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【新聞に喝!】こういう時こそ真価発揮を インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋

3月5日からの休校を前に集団登校する京都市立朱雀第四小学校の生徒ら=3月2日午前、京都市中京区(永田直也撮影)
3月5日からの休校を前に集団登校する京都市立朱雀第四小学校の生徒ら=3月2日午前、京都市中京区(永田直也撮影)

 新型コロナウイルスによって春休みを待たずして学校は休校となり、自宅で過ごす時間が通常より大幅に増えた全国の子供たち。東京を中心に日本で感染者数が急増した途端、公園からも子供たちの姿は忽然(こつぜん)と消え、以前の明るいはしゃぎ声は聞こえない。もしイタリア北部やニューヨーク市などと類似した危機的な情勢が到来すれば、子供たちの外出はさらに憚(はばか)られよう。

 こういう時こそ既存メディアは真価を発揮しなければならない。だが、残念ながら今のところ国民と寄り添う姿勢はあまり見えず、あくまでも通常路線に徹するかのようである。

 たとえばテレビ。確たる情報や根拠もない中で、門外漢たちが新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)について延々と同じことを互いに語りあう日中のワイドショーについてはうんざりする。だが、これ以上に唖然(あぜん)とするのは、東京のおいしいグルメを回るといった内容などの番組を平然と放映するテレビ局だ。ここまで無神経で本当にいいのだろうか。

 素朴な疑問としてあるのは、普段はいない多くの子供たちが今は自宅にいるわけだから、いつもの主婦向けではなく、子供たちが楽しめる番組をなぜ一挙に放送しないのかということだ。ゲームはいずれ飽きるし、ここであえてテレビの面白さを伝える絶好の機会ではないのか。実際ネットでは現況を踏まえ、アニメや漫画を特別に無料で見放題としているところが多い。

 新聞もテレビと同様だ。NIE(教育に新聞を)の導入やネットとの共存など新聞関係者は対策を訴えるが、率直に申してこの度のコロナ問題への対応を見て、〈喝!〉どころかため息が出た。なぜならば、時間を持て余している子供たちがここまで多くいるにもかかわらず、これをまたとない機会と捉えて機敏に動き、彼らを対象にした紙面を大幅に充実させる、あるいは子供向けに折り込み新聞を発行するなどといったことを一切しない。揚げ句の果てにはコロナ関連のネット記事もいまだに有料制を貫き、これまで通りのやり方を続けている。

 若い世代の新聞離れは、新聞を〈読む習慣〉がないからという調査結果を把握しているのにこのありさまだ。平常時ではないからこそ、視聴者・読者が求め、有益と思える情報を確実に提供し、われわれも一丸となって戦っているのだとの姿勢を示さなければ、不必要と見なされる日はそう遠くないであろう。

【プロフィル】簑原俊洋

 みのはら・としひろ 昭和46年、米カリフォルニア州出身。カリフォルニア大デイビス校卒。神戸大大学院博士課程修了。博士(政治学)。同大学院法学研究科教授。専門は日米関係、国際政治。

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