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【記者発】「価格」通し広がる経済の世界 経済本部・米沢文

純金の地金(ロイター)
純金の地金(ロイター)

 「経済の話は苦手」という方は少なくない。そういう方にはぜひ身近なモノやサービスの「価格」に関心を持ってほしい。いうまでもなく、需要と供給のバランスで決まる価格はまさに経済の縮図といえるからだ。

 記者が本社勤務になって最初に担当したのは、リーマン・ショック直後の証券業界だった。数字ばかりの世界に突然ほうり込まれ、当初は息が詰まりそうだった。ところが、「金」価格について取材したことがきっかけで、金融資本市場の世界にどっぷりつかるようになった。

 金価格は米国金利と逆相関関係にあり、米国金利が下がれば、金価格は上がる傾向がある。特定の国や組織の信用に基づかない金は「無国籍通貨」と呼ばれる。米国と距離を置きたがる中国やロシアは米国債を売って、金を積み増している。金を通して国際情勢を見るという経験を重ね、経済の妙味を知ることができた。

 足元では、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、さまざまなモノやサービスの価格に変動が生じている。

 牛肉やマグロといった宴席に欠かせない食材も値下がりした。

 たとえば、1日の東京食肉市場でA5ランクの和牛(牝)は1キロ=2532円。前年4月の加重平均と比べると2割近く安くなった。

 この春の歓送迎会を見送るケースが相次いだことや、訪日客が途絶えたことが高級食材の価格を押し下げている。

 また、ガソリンの価格は10週連続で値下がりしている。3月30日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットル=136円30銭で、2年5カ月ぶりの安値水準となった。

 世界経済の停滞懸念から原油価格が急落。石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟の産油国による協調減産協議の決裂も値下がりに拍車をかけた。金融市場では、世界経済を牽引(けんいん)する米国のエネルギー関連企業の経営破綻が警戒されている。

 このように、価格にはその時々の需要と供給が作り出すさまざまな事情が反映される。なぜ、その値付けがされたのかということに思いをはせれば、今の経済情勢を理解したり、先行きを見通したりすることにつながる。

【プロフィル】米沢文

 平成16年入社。20年から東京本社経済本部。これまでに日本航空の経営破綻や日本銀行の大規模金融緩和などを取材。現在は日本銀行、金融業界全般を担当。

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