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【直球&曲球】中江有里 心立て直すのは自分自身

スーパーの即席めんの棚は買い占めにより商品が何もなくなっていた=3月26日午後、東京都武蔵野市
スーパーの即席めんの棚は買い占めにより商品が何もなくなっていた=3月26日午後、東京都武蔵野市

 私が住む東京都では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月28日より週末の外出自粛要請が出た。平日はできる限り自宅で仕事、夜間は外出自粛、今のところ4月12日まで続く予定だ。

 このメッセージが発信された直後、スーパーマーケットの商品買い占めが起きた。

 2月からマスクや除菌スプレーが手に入らず、トイレットペーパー、ティッシュペーパーの欠品が続いている店もある中で、人々が急な外出自粛要請に不安を覚えるのは当然だ。

 「買い占めしないで」とメディアが消費者に呼び掛けても伝わりにくい。事実、買わなければ他の人に買われてしまい、自分の手に入らない。週末の外出を控えるなら、平日のうちに通常より多めに買う。そういう人が大勢いれば、商品は足りなくなる。

 東日本大震災のときは物流が滞ったのと、とりとめのない不安から人々が食料の確保に走り、スーパー、コンビニの棚は空になった。

 もちろん一人一人が冷静になり、節度を持てばいいのだが、おそらく消費者だってそんなことは分かっている。それでも買い占めに走ってしまうのは、一概に消費者のせいではないと思う。

 私の周辺で小学校の入学を控えた子がいる。学校から「マスクをつけて通学」と指示があったが、売っていないので、マスクを手作りしているという。

 身近な例だが、自助努力を求められている最中、食料も自分で確保しなければと焦る人がいても仕方がないだろう。これは、要請をするだけで、自粛にまつわる補償をしない政府への不信も無関係ではない。

 政府批判は別として、今の不安を取り除き、心を立て直すのは最終的に自分自身であろう。一定の我慢をするのは、自分と大切な人の未来を守るため…こうした信念を杖(つえ)として、困難を越える支えにしていく。先は長いかもしれないが、歴史を振り返れば感染症と人間はこれまでも共存してきたのだから。

 この長い夜をどう越えていけるか、その過程を忘れないようにしたい。

                   ◇

【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員

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