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【論壇時評】4月号 新型コロナ禍に揺れる民主主義 文化部・磨井慎吾

中国・武漢市内を視察し、住民に向かって手を振る習近平国家主席(中央)=10日(新華社=共同)
中国・武漢市内を視察し、住民に向かって手を振る習近平国家主席(中央)=10日(新華社=共同)

 中国・武漢市から始まってアジアに波及し、いまや世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。先月に起きたクルーズ船への対応をめぐっての国内の紛糾がすでに昔のように感じられるほど変化が速い状況下、速報性に限界のある月刊論壇誌は、さてどう対処したのか。

 当初の中心地であった中国の現場ルポを主軸にした誌面構成にするのはジャーナリズムとして正攻法ではあるが、取材執筆から読者の元に届くまで1カ月近くかかる間に情報の鮮度が失われたり、新事態によって分析の前提が変わったりすることは避けられない。そうした制約の中で、いかにタイムラグに耐えうる議論を提示できるか。各誌の地力が問われる局面である。

 最も読み応えがあったのは中央公論。中公新書の執筆者など同誌の強みである専門家人脈を駆使し、文明史的な論点を中心に据えている。巻頭を飾るのは歴史家の山内昌之と本村凌二、作家で元外務省主任分析官の佐藤優による鼎談(ていだん)「疫病という『世界史の逆襲』」。山内がまず「感染症は歴史的には、それが広い地域で大流行した時期が、時代の転換点にすらなってきた大問題」「AI化、IT化を進め、栄華を極めつつあった中華帝国は、『世界史の逆襲』ともいうべきものに、行く手を阻まれてしまった」との認識を示したのに対し、本村は「仮に中国政府が被害を最小限にとどめるような形でこの問題をうまく処理したとします。すると今度は、社会主義型の独裁を見直すべきだ、という意見が出てこないとも限らない」「習近平やウラジーミル・プーチンのような独裁的なやり方が、意外に通用するかもしれない。そんな『理解』が、世界に広がる契機になることはないのだろうか?」と興味深い視点で応じる。

 たしかに3月下旬の現在、中国は新型コロナの「制圧」を実態はどうあれ内外にアピールし、感染の急拡大で混乱する欧米に当てつけるような形で自らの体制の優位を誇示している。かねて顔認証などのAI(人工知能)技術を駆使した高度なデジタル監視システムによって経済成長と独裁体制を両立させる「中国モデル」のアフリカなどへの輸出が懸念されていた状況も考えれば、これは当を得た指摘であろう。

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