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ニュース コラム

【風を読む】天皇陛下のお言葉を聞きたい 論説副委員長・佐々木類

 人類を襲った未知の新型コロナウイルス禍はいつ終息するのか。

 銃弾が飛び交い、人を殺し合う戦争でもない。感染症という目に見えない人類共通の敵が国境を越えてパンデミック(世界的な大流行)となり、人類の心身を蝕(むしば)んでいく。その光景はまるで、開けてはならぬパンドラの箱の蓋が開き、あらゆる災厄が地上を覆い始めたかのごとくである。

 国内外で、当たり前のように営まれてきた日常の生活空間が、かつてないほど縮み始めている。児童生徒のいなくなった学校教育の場、中止されたイベントやスポーツの祭典、休館となった博物館の静寂はいつになったら、元の姿に戻るのだろうか。

 祈りにも似た気持ちを抱くとき、目に浮かぶのが天皇陛下のお姿だ。

 陛下は2月23日の誕生日に先立つ記者会見で、新型コロナウイルスに罹患(りかん)した患者と家族にお見舞いの言葉を述べられた。同時に、感染拡大の防止に努めている人々への苦労に深く思いを致し、早期の収束を願われた。

 広く国民のことを思い、寄り添われる姿は、昭和天皇から上皇陛下の間近で、今上陛下が学ばれてきた皇室の伝統である。そのお姿は、多くの国民の胸に刻まれている。

 東日本大震災で上皇陛下は、ビデオメッセージで被災者や救援に当たる人々など多くの国民を励ました。その後も被災地でひざをつき、被災者と同じ目線で励ましのお言葉をかけ続けた。上皇、上皇后両陛下のお姿は、どれだけ多くの人々を勇気づけたことか。

 被災地への慰問だけではない。天皇陛下は国民の知るご動静以外にも数多く、宮中祭祀(さいし)で日本と国民の安寧や豊穣(ほうじょう)を祈られている。諸外国との親善交流で果たされる役割も大きい。

 そのご存在に思いを致すとき、国民統合の象徴でいらっしゃる陛下のお言葉が、直接国民の元に届かぬものかと願わずにはいられないのである。今回もビデオメッセージで国民に語りかけることで、国民は心を合わせ、国難に立ち向かう意を強くするのではないかと思うからである。

 国民は平和と安寧を祈る陛下に深い敬意と感謝の念を抱いている。お言葉を耳にし、目にすることで、国民との温かい絆を確認できたらと思う。

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