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ニュース コラム

【大阪特派員】書き、磨く大阪文学学校 山上直子

 作家になりたい、評論家になりたい、詩人になりたい-。一度くらいそんなふうに思ったことがある人は、さして多くはないかもしれないが、そう少なくもないだろう。

 ましてやブログやツイッターなどネット時代の昨今。読書離れとは別に「上手な文章を書きたい」と思う人はむしろ増えている。

 「うまい“遺書”を書きたいと来られる人もいますよ。自分史みたいなイメージでしょうか」と笑うのは、大阪文学学校(大阪市中央区)の事務局長、小原政幸さんだ。

 「遺書?」と聞き返してしまったが、調べてみると、第一には死後のために書き残した手紙や文書・遺言状、第二には後世に遺(のこ)した著書とある。そう、遺書も立派な自己表現の一つなのだ。できればよい文章でつづりたい、と思うのもうなずける。

 さて、大阪文学学校。その名の通り小説や詩、エッセー、ノンフィクションなどの書き方を学ぶ学校で、詩人の小野十三郎(1903~96年)が昭和29年に創設した。ちょうど新年度の春期生を募集中で、詩人の金時鐘(キム・シジョン)さんに加え、直木賞作家で同校修了生でもある朝井まかてさんが「特別アドバイザー」になったと聞き訪ねた。

 「大阪」とはいうものの66年の歴史で、昼・夜間部、通信教育部を合わせ、北海道から沖縄まで約1万3千人の修了生がいる。この分野では有名校だ。こういう場合、やはりモノをいうのは在校生・修了生の実績である。

 朝井さんはじめ、芥川賞を受賞した田辺聖子さんや玄月さん、近年3回も直木賞候補になっている木下昌輝さんらがいる。つい最近も、中西智佐乃さんが「第51回(2019年)新潮新人賞」を受賞した。いったい何がいいのか。田辺さんは「私の人生でのゆたかな稔(みの)り」と題し、同校発行の文芸誌にこう書いた。

 <当時の私を考えると、それまでは学校と職場との人間関係しか、知らなかったのに利害関係も何もヌキにして同好のよろこびだけで集まった仲間というものは、実に新鮮でたのしく思えた。(中略)普通科では、仲間づくりのたのしさ、研究科ではその仲間で勉強しあってゆくたのしさを、文学学校は私に教えてくれた>(「樹林」の前身「新文学」から)

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