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【記者発】日韓が仲良くなくても… 外信部・時吉達也

 韓国の康京和外相(左から2人目)との会談に臨む茂木外相(右手前から3人目)=2月15日、ドイツ・ミュンヘン(共同)
 韓国の康京和外相(左から2人目)との会談に臨む茂木外相(右手前から3人目)=2月15日、ドイツ・ミュンヘン(共同)

 もうずいぶん昔の話のように感じるが、いわゆる徴用工問題に端を発した日韓関係の悪化が深刻になっていた昨年秋、両国の担当記者が参加するシンポジウムが東京で開かれた。互いの立場から意見をぶつけ合い、問題解決の糸口を探ろうとする試みだった。

 とはいっても、実際には侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の応酬があるわけではない。緊張して臨んだ若造の私をよそに、参加者の多くを占める特派員経験者のベテラン記者らは談笑し旧交を温めていた。「扇情的な報道を控え、両国関係を改善させよう」。予定調和の結論に向かう場の雰囲気に居心地の悪さを感じ、発言を求めた。

 「日韓って、仲良くなくてはいけないんでしょうか?」

 もちろん仲がいいに越したことはないと、思う。個人的には、韓国はとても大切な国だ。尊敬する恩師や友人もいるし、何より彼らとの交流はいろいろな意味で、日本人としての自分自身について考える機会を与えてくれる。

 しかし、近親憎悪という言葉もあるが、国と国の関係でみれば隣国同士が仲が良いというのは、それほど自然なことでもない。さらにいえば、隣国同士が緊密な関係を築くのはたいてい、共通する外敵の脅威にさらされたときだ。

 北朝鮮との軍事衝突が現実のものとなり、いや応なく日韓が安保協力を深める。そんな状況に比べれば、いがみ合いつつも草の根の交流が広がる現状は、ずいぶんマシではないか。理想的な関係ばかり論じても、読者、視聴者には共感してもらえない-。

 そんな議論をしていた半年前には想像もしなかった危機が、世界を襲っている。日韓も、新型コロナウイルスという「共通の外敵」と戦う格好となった。

 それでも、両国間の対立が収まる気配はない。日本が韓国からの入国を制限する措置をとれば、韓国側は政治目的の「韓国たたき」を露骨に怪しみ、品位を欠いた言葉で非難する。検査の態勢や方針の違いをめぐり、優劣を示したがる議論も過熱している。

 もし両国での感染状況がさらに悪化すれば、未曽有の事態に一致して取り組む空気が醸成されるのだろうか。いや、そんなふうに日韓が「仲良く」なることは望まない。ただただ、今回の事態が早期に収束することを願う。

【プロフィル】時吉達也

 3年間の韓国留学を経て平成19年入社。社会部で裁判・検察取材を担当し、28年から外信部。平昌五輪や南北・米朝首脳会談を現地で取材した。

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