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【スポーツ茶論】パーマーのアイアン 別府育郎

東京マラソン2020で力走するランナーの足元には、ナイキ社製のシューズが目立った=1日、東京都内(川口良介撮影)
東京マラソン2020で力走するランナーの足元には、ナイキ社製のシューズが目立った=1日、東京都内(川口良介撮影)

 1995年のマスターズを取材した。ベン・クレンショーが恩師ハーベイ・ペニックの急死の悲しみを乗り越えて最終18番で泣き崩れた感動的な幕切れだった。学生のタイガー・ウッズが初参戦でローアマに輝いた大会でもある。

 印象に残るのは10番で聞いたアーノルド・パーマーのつぶやきである。マスターズは常にオーガスタ・ナショナルの同じコースで開催される。打ち下ろしのティーショットから2打目でグリーンに打ち上げるのだが、パーマーはこう話した。「昔は2打目をウッドで狙ったものだが、今はアイアンだものな」

 マスターズで4勝を挙げたパーマーは、当時65歳。飛距離を伸ばしたのは筋力ではなく、用具の進歩である。

 ドライバーのヘッドは、パーシモン(柿の木)からメタル、チタンへ。シャフトもスチールからカーボンへと変化を続けた。ボールも糸巻きからツーピース、多層構造へと変わり、飛距離は伸び続けている。老境の「キング」が驚くほど、ゴルフは用具によってその景色を変えてきた。

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 テクノロジーの進化は止まらない。クラブにもボールにも反発係数の上限が定められているが、これを上回る「飛ぶクラブ」も「飛ぶボール」も市販されている。ただし、プロもアマチュアも正式な競技大会では使えない。

 で、ナイキの厚底シューズである。世界の長距離レースを席巻している厚底シューズについて、世界陸連は靴底を厚さ40ミリ以内、中に埋め込むプレートは1枚までとする規制を打ち出し、すでに流通しているナイキ社製品に、東京五輪でも使用できるお墨付きを与えた。

 もともと、マラソンなど路上種目の競技規則には「使用者に不公平となる助力や利益を与えるようなものであってはならない」とある。40ミリ以内、プレート1枚までの規制はいかにも大ざっぱで、この規制が「不公平となる助力」とどう関係するのか、科学的根拠は乏しい。一方で、明らかに「助力」をうかがわせるレースは続いている。

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