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【記者発】関電新社長は真の経営者たれ 大阪総局・安田奈緒美

福井県高浜町の関西電力高浜原発、手前右が3号機、左が4号機
福井県高浜町の関西電力高浜原発、手前右が3号機、左が4号機

 先週末、福井県高浜町まで車を走らせた。町の東端にある関西電力高浜原発3、4号機ではテロ対策施設の工事が急ピッチで進められている。関係車両だろうか。静かな、曇天の若狭湾沿いの県道を関電と大手ゼネコンの名前を記したダンプカーがひっきりなしに行きかっていた。

 工事は遅れている。原子力規制委員会は間に合わなければ原発停止の方針を示しており、関電は順次3、4号機を停止する。経営への影響も懸念される中、14日、関電は新しい社長を発表する。果たして関電は今度こそ真の経営者を得られるのだろうか。

 「不適切ではあったが、違法性はないと判断した」

 昨年秋、関電の役員らが高浜町の元助役から多額の金品を受領していたことが発覚し、取材に追われた。最初の会見で岩根茂樹社長が繰り返した言葉が思い出される。

 少なくとも計3億2千万円の金品を受け取ったことが分かった社内調査の公表を見送り、処分も一部にとどめた理由を記者から問われると、手元に用意した想定問答集を目にしながら何度も同じセリフを唱えた。保身のためか、前例踏襲主義のためか判断を誤り、企業統治の信頼を損ねた。企業の経営者としての自覚もない、言い訳にしか聞こえなかった。

 関電歴代社長の中でも強烈なリーダーシップで知られるのは初代の太田垣士郎だ。黒部川第四発電所、通称、黒四のダム建設を成功に導いた出色の経営者だった。昨夏、関電担当になったときに訪れた黒四で太田垣の言葉を刻んだ碑を見た。

 「経営者が十割の自信をもって取り掛かる事業。そんなものは仕事のうちには入らない。7割成功の見通しがあったら勇断をもって実行する」

 電力会社の経営者としての胆力と責任感を見た気がした。社長時代に原発建設の検討を始めてもいる。そして、昭和45年に開幕した大阪万博で関電は美浜発電所からの送電に成功し、日本初の原子力発電営業運転を果たした。国の「安定電源」としての端緒も太田垣の先見性に負うところが大きかった。

 14日、金品受領問題の第三者委員会の報告を受けて選ばれる経営者にそのDNAは受け継がれているのだろうか。注視したい。

                  ◇

【プロフィル】安田奈緒美

 平成11年入社。大阪文化部でクラシック音楽、大阪経済部で製薬、機械、財界などを担当。昨年11月から大阪総局次長として関西広域面を担当。

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