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【一筆多論】危機に問われる教育の力 沢辺隆雄

臨時休校中の子どもの受け入れを開始した小学校で、座席の間隔を空けて給食を食べる児童=6日午後、茨城県つくば市
臨時休校中の子どもの受け入れを開始した小学校で、座席の間隔を空けて給食を食べる児童=6日午後、茨城県つくば市

 「安倍晋三首相は、中高生などから『神』といわれているそう」。同僚が教えてくれた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、小中高校などが休校となった。冒頭のように期末試験などがなくなり子供たちは喜んでいる、と書くと怒られるが、教育委員会、学校関係者をはじめとした大人の方が右往左往していないか胸に手を当てたい。

 「休校」と突然言われても困るという文句も出た。「突然」にどう対処するか、子供たちのため常に考えておくのが教師であると言ったらだめだろうか。

 早速、ネットを活用して自宅学習支援の教材を無料配信する教育情報会社もある。そういう面では民間の動きは早い。安倍政権憎しで一斉休校を批判していても、あまり益はない。

 ここでは危機の際、問われる教育の力について改めて考えてみたい。

 寺田寅彦著『天災と国防』(講談社学術文庫)に「火事教育」と題する昭和8年の論考が収められている。前年に起きた百貨店火災などに触れ、避難訓練などで備えていても、できるはずのことができないのは「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」するからだと指摘している。

 どうしたらいいか。煙がどのように広がるかなど、漠然とでもいいから科学的知識を「確実に腹の底に落ちつけておけば…狼狽から知らず知らず取り返しのつかぬ自殺的行動」に陥ることはないと説く。小学校教育や家庭教育の重要性をあげ、「感受性ゆたかなる頭脳」に「最重要の心得の一般を固定させるよりほかに道はない」という。

 腑(ふ)に落ちればおのずから体が動く。日ごろからの地道な教育が肝要だ。

 9年前の東日本大震災で津波から児童生徒が避難した岩手県釜石市の例でも、「奇跡」ではなく、震災前から防災教育が積極的に行われていた。「命の尊さを十分知っていればマニュアルに左右されず自然と必要な行動につながる」。防災教育に携わった校長の言葉を改めて思い出す。

 感染防止や防災など危機に関連した教育にとどまらず、自ら考え行動する力の育成がいま問われている。東京都千代田区立麹町中学校(工藤勇一校長)の取り組みは大きなヒントになるので、紹介したい。

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