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【主張】歴史教科書 太子や龍馬を泣かせるな

 「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する中学歴史教科書(自由社)が、文部科学省の検定で不合格とされた。同会が明らかにした。

 「誤解するおそれがある」などとされた検定の指摘の中には、逆に誤解しないか、首をひねるものがある。歴史教科書のあり方とともに見直してもらいたい。

 学習指導要領改定に伴い、令和3年度から中学で使われる教科書の検定が今年度行われている。

 すべての検定が終わる今春まで結果公表は禁止されているが、同会が記者会見した。それによると自由社版で「欠陥箇所」として405件が指摘され、不合格の通知を受けた。誤記や事実の間違いは比較的少なく、7割以上にあたる292件が「生徒に理解しがたい」「誤解するおそれがある」などの理由による。

 つくる会の反論はもっともな点が少なくない。たとえば、年表の中で1949年の「中華人民共和国(共産党政権)成立」の記述が「誤解されるおそれ」があるとされた。成立時は「連合政権」だというが、実態は共産党政権に変わりない。それを無視しては、かえって生徒の理解を損ねよう。

 仁徳天皇をめぐる記述で「世界一の古墳に祀(まつ)られている」との記述に対し「葬られている」が正しい表現とされた。だが天皇陵は単なる墓所ではなく祭祀(さいし)の対象とされ、「祀られている」で問題ないとの同会の説明はうなずける。

 聖徳太子や坂本龍馬の功績をめぐる記述にも意見がついた。その指摘は専門用語などにこだわるあまり、逆に歴史への興味を損なっていないか。

 新学習指導要領で「聖徳太子」を避け、「厩戸王(うまやどのおう)」の表記を優先しようとする方針に異論が出て撤回されたことも記憶に新しい。一部教員グループが高校教科書の歴史用語から坂本龍馬らを外す案が物議をかもしたこともある。

 教科書が人物ドラマや時代を通じて流れる国民の物語を欠いては無味乾燥なものになる。

 戦後歴史教育では日本をことさら悪く描く自虐史観が拭えない。教科書検定でも外圧に弱い点が指摘され、中韓などへの配慮を求める「近隣諸国条項」もいまだに見直されていない。検定も自虐史観にとらわれていては、歴史を多角的にみる力を重視する新学習指導要領の趣旨にかなわない。

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