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【記者発】育まれる「棒高跳びの情熱」 運動部・宝田将志

 寒さ厳しいこの季節、陸上競技の一部種目は屋内で実施されている。8日に千葉県印西市の体育館で開催された「いんざい室内棒高跳」を見てきた。中学生から一般まで90人以上が出場する盛況ぶりで、昨年の世界選手権代表、江島雅紀選手の姿もあった。

 大会の存在自体は以前から知っていたのだが、これまで取材に足を運べずにいた。地縁が濃いイベントだという遠慮があったからだ。主催団体の中心は岩井浩さん(58)。記者の母校、印西中学校の元教師。30年近く前から面識のある人物なのである。

 岩井先生は25歳だった1987年、印西中に赴任し陸上部の顧問となった。「グラウンドに棒高跳びのボックス(ポールを突き立てるくぼみ)があったから、最初は試合に出られない他種目の補欠の子を集めて始めたんだ。競技人口が少ないから上位に入りやすかったしな」。ポールを自費で買い、大ぶりのスポンジをネットに詰めて着地用マットを手作りした。年々、集まる生徒は増え、その中に沢野大地君がいた。彼は後に日本記録を樹立し、リオデジャネイロ五輪で7位入賞を果たすまでの選手になる。

 岩井先生は陸上経験者ではあったが、棒高跳びは専門外だった。それが、この種目の魅力に触れ、どんどんのめり込んでいった。2001年1月には米ネバダ州を訪れ、ホテルのホールで行われた棒高跳び大会を視察。「刺激されてね。自分たちもやりたくてしょうがなくなった」。帰国後、わずか2カ月ほどで実現したのが「いんざい室内」の第1回大会だった。

 大会は今年、20回目を迎えた。20年といえば新生児だって成人する。簡単に継続できる歳月ではないだろう。

 岩井先生の教え子のうち、ある者は指導者となって選手を連れて大会に参加し、ある者は設営や運営をサポートしている。沢野選手も総務担当として携わる。「棒高跳びは技術系の種目だから、冬場からどんどん室内で跳べたら競技力も向上する」と沢野選手。岩井先生は「中学生にとって一流選手を目の前で見られることは刺激になる。いずれ国際大会にできたらいいと考えているんだ」という。

 情熱の“種”は根を張り、枝葉を広げ、もっと大きく茂ろうとしている。

【プロフィル】宝田将志

 平成13年入社。21年から運動部。ソチ五輪、リオデジャネイロ五輪を現地取材。著書に『四継 2016リオ五輪、彼らの真実』(文芸春秋)。

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