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【直球&曲球】春風亭一之輔 「家虎」って何のこと?

新作「芝ノ浜由縁初鰹」を披露する春風亭一之輔。ポルトガル人の魚屋や銭形平次が大活躍する“一之輔ワールド”の真骨頂だ((c)キッチンミノル)
新作「芝ノ浜由縁初鰹」を披露する春風亭一之輔。ポルトガル人の魚屋や銭形平次が大活躍する“一之輔ワールド”の真骨頂だ((c)キッチンミノル)

 先日ツイッターのトレンドワードに挙がっていた『家虎根絶』。何のことやらと調べてみた。「アイドルや声優のライブで『イェッタイガー!』と叫んで妨害行為をする観客を退場させます、損害賠償請求の可能性もありますよ」と主催者側が打ち出した、ということらしい。

 イェッタイガー=家虎。まだ何のことやら…で、その動画を見てみた。なるほど、曲中の無音の時に観客が「イェッタイガー!」と怒鳴ることによって、間(ま)が台無しになってしまう。それを主催者側は怒ってるようだ。

 「家虎」反対派の観客もお怒りならば、肝心の演者もやめてほしいと司会役が呼びかけているという。演者がNGと言ってるのなら「よかれと思って」「盛り上がるために」は通用しない。歌舞伎の「大向こう」は、観客がいい場面で「音羽屋!」「成田屋!」と役者の屋号を叫ぶ。時折「慣れない人」がやると舞台がぶち壊しになるので、初心者はやらない方がいい。

 われわれ寄席の世界でも登場時に「待ってました!」「たっぷり!」と声がけをもらうことがあるが、これも非常に間が難しい。悪気はないのはよく分かるが、正直言わせてもらうと、むやみやたらな声がけは要らない。全員に「待ってました!」と言われても「ホントかよ?」と疑いたくなるし、高座に上がって早々に「産経のコラム読んでるよー!」なんて言われてもこっちは困るのだ(本当にあった)。

 こじらせると「オレはこのギャグで笑うことができる『分かってる客』なのだ」とアピールするがごとく、大げさに高笑いする人も。胸が躍れば拍手をし、面白ければ笑っていただいてよいのだが、自分が発する音が周りにどう聞こえているのか、も考えた方がいい。「金払ってるからいいだろう」って…そこに居るみんな払ってるんですよ。

 お客の『自己顕示欲』は舞台空間には「百害あって一利なし」。かといって、笑わずにまるで反応しないのは寂しいか。アイドル界隈(かいわい)では『地蔵』といわれて嫌がられるらしい。とかく、お客は難しい。私ゃ演者でよかった。

【プロフィル】春風亭一之輔

しゅんぷうてい・いちのすけ 落語家。昭和53年、千葉県生まれ。日大芸術学部卒。平成13年、春風亭一朝に入門して朝左久、二つ目昇進時に一之輔を名乗る。24年、21人抜きで真打ちに抜擢(ばってき)。古典落語の滑稽噺を中心に、人情噺、新作など持ちネタは200以上。

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