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【日曜に書く】「フクシマ50」は全国にいる 論説委員・井伊重之

東京電力福島第1原発の敷地内=2018年2月
東京電力福島第1原発の敷地内=2018年2月

 東京電力の福島第1原発事故で決死の作業にあたった職員らを描いた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」が来月公開される。題名は原発事故後も最後まで現場に残り、過酷な作業を続けた約50人を海外メディアが「フクシマ50」と称(たた)えたのが由来だ。

 原作は作家の門田隆将氏が事故当時、福島第1原発の所長だった故吉田昌郎氏らを取材した「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」だ。映画では次々に起きる不測の事態で緊迫した場面が続く。

 先行きがまったく見えない中で原発、そして自分たちが暮らす故郷を守るために最前線で事故の対応に従事した現場の苦闘、そして政府や首相官邸、東電本店に翻弄される様子などもリアルに描かれている。あの総理ももちろん登場する。

 ◆安全対策で信頼感醸成

 だが、平成23年3月11日の東日本大震災で被災した原発をめぐり、過酷な作業にあたったのはフクシマフィフティだけではない。あの日、大きな揺れに襲われたのは、東電の福島第2原発や東北電力の女川原発(宮城県)なども同じだ。

 女川原発では、津波で深刻な被害を受けた地元の住民を緊急措置として受け入れ、避難所として機能した。日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)は、福島第1原発と同様に外部電源を失いながら、必死の作業で非常用電源を駆使して原子炉を冷温停止に持ち込んだ。

 強い使命感を持ち、原発の保守や運営などにあたるフクシマフィフティは、今も全国の原発で働いている。九州電力の玄海原発(佐賀県)に勤務する男性社員は「原発の安全対策が迅速かつ確実に実施できるように習熟訓練などに取り組んでいる」という。そして「安全対策に真摯(しんし)に取り組むことが自分も住む玄海町など地元との信頼関係の醸成にもつながる」と話す。

 原発に対する世論は依然として厳しい。その中でも黙々と現場作業に従事する人たちの存在を忘れてはならない。

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