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【ソウルからヨボセヨ】新型肺炎が映す心根

1月24日、韓国・ソウルの鉄道駅で消毒剤をまく作業員ら(ゲッティ=共同)
1月24日、韓国・ソウルの鉄道駅で消毒剤をまく作業員ら(ゲッティ=共同)

 未知の脅威に対する恐怖心は、人間の本性をあぶり出すものだ。新型コロナウイルスによる肺炎の中国からの拡大に直面する韓国もしかり。「中国人、出入り禁止」と張り紙をした飲食店が現れたり、駅などに箱ごと設置された無料提供のマスクがごっそり持ち去られたりするニュースを聞くと、暗い気分になる。

 中でも暗澹(あんたん)たる気持ちにさせられたのが、感染元とされる中国・武漢から帰国する韓国人を一時隔離する場所が中部、牙山(アサン)などに決まったときだ。施設前の道を周辺住民らがトラクターでふさぐなどして猛烈に抗議し、説得に訪れた閣僚一行には卵も投げつけられた。

 だが、いざ帰国の日となると、光景は一変する。インターネット上には「We are Asan(私たちが牙山だ)」と題し「恐怖の中で震えていたはずの帰国者を温かく迎えよう」「牙山でゆっくり休んでください」という市民の書き込みが相次いだ。周辺住民も帰国者受け入れに反対しない方針を決めた。帰国者らを待ち受けていたのは、憎悪の抗議団ではなく、親子連れを含む歓迎メッセージを掲げた面々だった。

 新型肺炎をめぐる混乱は今後も続くだろう。ただ、恐れからくる偏見の壁を築くのが人なら、その壁を打ち破れるのも、また人しかないと実感した。 (桜井紀雄)

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