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【風を読む】サクラで首相に塩を送る野党 論説委員長・乾正人

 3日、マスクを着けてフィリピン・マニラの空港に到着した乗客ら(AP=共同)
 3日、マスクを着けてフィリピン・マニラの空港に到着した乗客ら(AP=共同)

 通勤電車内のマスク着用率が、先週から目に見えて上がった。中国・武漢発の新型肺炎感染を恐れ、自衛策を講じた善男善女が激増したのである。

 同調圧力に抗しきれず、筆者もマスクを求めて会社の近くにあるコンビニやドラッグストアをさまよい歩いたが、どこにもない。ようやく「1人2箱まで」と日本語と中国語、それに英語で大書された張り紙を貼っていた薬局で手にしたが、飛ぶように売れる、とはオーバーな表現ではなかった。半世紀近く前、石油ショックをきっかけとした流言飛語で、トイレットペーパーが全国のスーパーから一斉に消えた記憶がよみがえってきた(といっても当時は小学生だったが)。

 いま、国民の最大の関心事が、新型肺炎への対策と予防であるのは、カネのかかる世論調査などせずとも、電車に乗ればすぐ分かる。そんな当たり前の事実さえ分からないのが、国会議員の皆さんである。

 3日の衆院予算委員会でようやく論議が活発になったが、1月29日の参院予算委で立憲民主党の蓮舫氏は、1時間半近くの持ち時間すべてを「桜を見る会」問題に費やした。新型肺炎は、一言も触れなかった。確かに「桜を見る会」問題は、公的行事を「私物化」した安倍晋三首相側に非がある。野党が責め立てるのも道理だが、桜ばかりでは、見ている方もうんざりする。それが証拠に野党がいくら「天下の一大事だ」としゃかりきになっても安倍支持率は、一向に下がらない。

 一方で、新型肺炎をめぐる政府の初動対応が鈍かったにもかかわらず、野党の追及は淡泊だ。例を挙げれば、外務省が本格的な対策本部を立ち上げたのは、武漢が封鎖された後の1月24日になってから。28日になっても横井裕駐中国大使は、中国中央テレビで「中国の友人の皆さんがねずみ年に数え切れない収穫を収め、数え切れない幸せを得るよう祈っている」と新型肺炎に一切触れず、のんきに春節のお祝いを述べたほど、危機感が欠如していた。にもかかわらず、追及する議員はほとんどおらず、首相に塩を送った格好だ。かつて「2位じゃダメなんですか」発言で一世を風靡(ふうび)した蓮舫氏だが、どうやら1番になって政権を奪回する気は今もさらさらないらしい。

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