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【論壇時評】2月号 「100年後の日本」に論壇は? 文化部・磨井慎吾

2020年を迎え、大勢の人で盛り上がる渋谷のスクランブル交差点=1日午前、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)
2020年を迎え、大勢の人で盛り上がる渋谷のスクランブル交差点=1日午前、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)

 新元号での初の年始号であり、2020年代最初の論壇誌発刊となった今月号。世間では昨年末に起きた日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の海外逃亡、米イラン関係の緊張など、年末年始にかけて大きなニュースが相次いだが、毎月10日前後に発売日が集中する論壇誌は、おそらく年末に設定されていたであろう校了日の関係で対応が間に合わない。しかし紙の論壇誌の魅力はそうした世情への即応性とは別で、中長期的なものに目を配った“悠長な”部分にある。

 その極致といえるのが、年2回刊のアステイオンの特集「可能性としての未来-100年後の日本」。ちょうど100年前に政論雑誌「日本及日本人」が学者や文学者、ジャーナリストら300人あまりの寄稿で編んだ同タイトルの未来予想企画を、サントリー学芸賞受賞者を中心とした令和日本の知識人六十数人で再現しようという豪華企画だ。第一次世界大戦が終わり、大正も後期にさしかかったオリジナル企画の発表時期は、論壇誌の主要読者層となるべき高等教育を受けたホワイトカラー人口が拡大した「論壇」の成立期。そのころに完成した論壇誌という基本フォーマットが、1世紀後の現在も衰退はしながらも何はともあれいまだに継続していて、こうしたリバイバル企画を打ち出せたことにまずは感慨を覚える。われわれはまだ、当時から地続きの近代に生きているのだ。

 それにしても、来年やせいぜい5年、10年といったスパンでの情勢展望ならともかく、100年後の未来を予測せよというお題は、まじめな専門家であるほど「無理」の一言で片づけたくなるというもの。見識のみならず思考の柔軟性やユーモアも試される。そこをあえて正面から自分の専門に関して予想しようとする論者があり、1世紀前と比較しての時代変化のスピードに焦点を当てる論考もあり、はたまた小説仕立てにする人もあり、そのスタイルはさまざまで、腕比べの趣もある。

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