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【主張】新型肺炎拡大 強い危機感で水際対策を 渡航の自粛は必要ないのか

 中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。中国政府は22日の記者会見で、湖北省武漢市から広がった肺炎の発症者は440人に上ると発表した。また、湖北省政府によると死者は17人になった。

 新型肺炎をめぐり、中国政府が会見するのは初めてだ。情報を正確に発信してきたかが疑われた当局が一転して発表に踏み切ったのは、それだけ事態が深刻なことを物語っているといえよう。

 もはや、日本政府の水際対策には一刻の猶予も許されない。空港や港などでの検疫の強化はもちろん、渡航自粛などを求めることも必要ではないのか。発症者が国内で広がる事態も想定し、強い危機感をもって万全の防疫対策に取り組んでもらいたい。

 ≪国挙げた防疫が急務だ≫

 発症者は日本や韓国、台湾、タイ以外の米国やマカオでも初めて確認された。22日には、世界保健機関(WHO)が専門家による緊急委員会を開いた。

 日本政府は21日、肺炎対策の関係閣僚会議を開き、水際対策の徹底や患者の確実な把握、情報収集の徹底、迅速で的確な情報提供を行う方針を決めた。

 政府が一丸となって取り組むのは当然だが、水際での防疫は後手に回っていないか。

 中国当局は人から人への感染を確認し、習近平国家主席が防疫に向けた異例の声明を発表した。

 菅義偉官房長官は記者会見で限定的な人から人への感染例があることを認めながらも、「現時点で持続的な人から人への感染は確認されていない」と述べた。

 感染拡大は続いている。感染源が判明していない以上、日本政府には持続的な感染に備え、防疫の強化に取り組んでほしい。

 これまでも、政府はサーモグラフィーによる体温測定や、武漢市から来日する乗客への自己申告を呼びかけてきた。今後、武漢市からの航空便については、症状や武漢市での行動履歴などに関する質問票を事前に配布し、検疫官が個別にチェックする態勢をとる。

 また、武漢のほか上海からの乗客にも、体調や薬の服用状況の申告を呼びかける健康カードを配布し、自己申告の徹底を図る。

 ただ、これらの対策はあくまでも乗客の善意の協力が前提で、実効性のある検疫にはほど遠い。

 日本に比べ武漢からの直行便や乗り継ぎ便が少ない米国ですら、乗客全員を対象に検疫態勢の強化に乗り出している。米東部ニューヨークや西海岸のロサンゼルスなど3つの空港で、係官が乗客全員を一般とは別の部屋に移して、熱や咳(せき)などの症状がないかを調べる対応をとっている。

 強い感染力を持ち、感染拡大に拍車をかけるウイルスの変異がいつ起きるかはわからず、それが日本に入らないともかぎらない。日本でも武漢から来日した航空機に検疫官が乗り込むなど、防疫態勢の強化を急ぐべきである。

 ≪予防の徹底心がけたい≫

 在中邦人の安全確保も喫緊の課題だ。厚生労働、外務両省がホームページで安全情報を更新し感染予防と警戒を呼びかけている。武漢市には100社以上の日本企業が事務所を持つ。在中公館も現地企業と情報を密にする必要がある。観光庁も旅行会社を通じてツアー客らに注意喚起している。

 甘くはないか。中国政府や武漢市は市外の人に対し、必要がないかぎり同市に行かないよう求めている。外務省が武漢市への渡航自粛を求めてもおかしくはない。

 現地企業では、ソフトバンクが現地スタッフに在宅勤務を指示したほか、日本製鉄やソニーも不要不急の出張を控えるよう社員に要請している。中国当局の発表する情報だけに頼らず、自らの身を守る企業努力も不可欠だ。

 東京医科大学病院の濱田篤郎教授(渡航医学)は、「持続的な人から人への感染の可能性がある以上、今後、強い感染力を持った肺炎が中国内外で感染拡大する可能性がある。どこで感染し、どんな症状なのか、中国当局にもっと具体的な情報開示を求めていく必要がある」としている。

 日本国内での対策でまず必要なのは、風邪やインフルエンザと同様の一般的な感染症対策だ。咳やくしゃみなどにハンカチやマスクを使う「咳エチケット」、手洗いなどを心がけたい。

 新型肺炎の防疫は、息の長い対策への覚悟が必要だ。

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