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【朝晴れエッセー】北海道と笑顔の彼女・1月18日

 同期入社の親友、彼女は冬の日に亡くなった。

 彼女とはよく北海道を2人で旅する間柄で、あのときも「7月に行かない?」と旅の資料を手に声をかけてきた。仕事帰りのフードコートで、

 「今度はサロマ湖に行こう」

 「東に行くなら知床は外せない」

 「じゃあ前に行った写真館どうする?」

 「やっぱり旭川ラーメン食べたいわー」

 なんて、1杯のコーヒーも飲みきれないまま続いた会話。思えばあの、旅にでるまでのワクワクした時間が、彼女も私も大好きだった。

 だけど私は親の介護で、彼女は自身の病で、2人で旅をすることがなくなった。静かに退職した彼女の病の急変の知らせに駆けつけた病室で、彼女は、私の声を聞いただろうか。

 「また行こう、北海道」

 かけぬける風や揺れていたラベンダー、パッチワークの丘で、ふり向いて両手を振って笑っていた彼女。北海道の思い出は、彼女の存在と重なって、私の記憶に深く残る。

 もうすぐ命日。

 「北海道にはぜひ冬に来てください」

 宿の主人が言ったこと、彼女が忘れてないなら、きっと今頃風になって、まっ白な雪原を見つめているだろう。

傘谷 幸子 53 会社員 大阪府枚方市

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