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【風を読む】内閣記者会の残念な年頭質問 論説副委員長・榊原智

 先に問うべき事柄があるだろうに-。新年早々、残念な内容の記者会見をテレビ中継で見てしまった。

 それは6日午後の安倍晋三首相の年頭記者会見で、筆者が失望したのは同行記者団の質問内容である。

 歴代首相は年頭に、伊勢神宮を参拝する。その後、神宮司庁で記者会見に臨む。相手は内閣記者会(首相官邸クラブ)の同行記者団と地元三重の記者らだ。

 安倍首相が今年の抱負を語ってから質疑応答に移った。限られた時間の中で、同行記者団と三重の記者から、それぞれ2回の質問が出た。

 三重側の問いは三重県や地方に関わるものとなるのが通例で、今年は東京五輪の地方への波及効果や、第一次産業の振興などが取り上げられた。

 問題は同行記者団の質問だ。内閣記者会の幹事社が質問を担ったが、1問目はテレビ朝日が、最も成し遂げたい内政上の課題と、憲法改正の年内発議を目指すかを尋ねた。2問目は朝日新聞が、「桜を見る会」について質(ただ)した。それで終わりである。本当にどうかしている。

 年末から年始にかけて、日本や世界で大きな出来事があった。

 米国は3日、イラン革命防衛隊の部隊司令官を無人機で殺害し、中東情勢が緊迫化した。年末には保釈中だった日産自動車前会長のゴーン被告がレバノンへ逃亡した。北朝鮮は核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の再開を示唆した。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件は捜査が続いている。

 これらを国政の最高責任者に質す機会を逃したわけだ。憲法改正などの1問目はともかく、「桜を見る会」を2問目に聞くようでは、事の軽重をわきまえていないと言われても仕方ない。予定時間を10分ほど超えて会見の終了が告げられてから、ある記者がIR事件を問おうと声をあげたが、時すでに遅し、である。

 首相会見の機会は多くない。真剣勝負であるべきだが、6日の内閣記者会はその使命を果たせなかった。このようなありさまでは、国民のマスコミへのまなざしは一層厳しくなるだろう。

 自分のことを棚に上げて言わねばならない。もっと精進して貰(もら)いたい。

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