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【一筆多論】「それなりに」では物足りぬ 長谷川秀行

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が立て続けに発効してからほぼ1年となった。日本企業の海外ビジネスを大きく後押しすることが期待される両協定である。この1年で、どれくらいの企業が協定を活用してきたのかが気になるところだが、今のところ、十分に浸透したとまでは言えそうにない。

 もちろん、両協定を利用して関税上の恩恵を受けている企業はある。食品関連などの欧州向け輸出が大きく伸びているのは、その効果といえるだろう。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、在欧州の日系企業のうち65・5%が日本製の工業製品や農畜産物などの貿易で日欧EPAを活用していると回答した。数字は悪くない。

 ただし調査対象が、既に欧州でビジネスをしてきた企業だという点は割り引いてみる必要がある。欧州に拠点がある企業が協定を利用するのは、むしろ当然のことである。

 TPPにもいえることだが、重要なのは、中小企業や地方の企業が協定発効を機に初めての海外進出を決めるなど、新たな成長基盤を構築するための攻めの動きがどれくらい出るかである。今のところ、そこまでの勢いはみられない。

 もともと、TPPや日欧EPAがフル活用されるまでには数年かかるとみられてきた。これが前提なら1年目としてそれなりの出足だったとみることもできるが、やはり物足りなさは残る。両協定は安倍晋三政権の成長戦略の切り札とされてきたからである。

 企業が協定の活用をためらう理由の一つに、関税撤廃などの措置に必要な新たな手続きに不慣れだという事情がある。輸出品が日本産だということを証明する原産地規則への対応だ。この証明がなければ、協定で認められた関税上の特恵を受けられない。

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