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【新聞に喝!】イラン情勢緊迫 無力な日本、関与のあり方は ブロガー、投資家・山本一郎

P3C哨戒機の出発式を終え、記者団の取材に応じる河野防衛相=11日午前11時10分、那覇市の那覇航空基地
P3C哨戒機の出発式を終え、記者団の取材に応じる河野防衛相=11日午前11時10分、那覇市の那覇航空基地

 詩人・与謝野晶子の作品「君死にたまふことなかれ」は、日露戦争最大の激戦地となった旅順で従軍する弟の安全を祈る姉の心情、また戦争反対とは物言えぬ時代ゆえの独特な作風が、いまも心に残ります。

 私も、敬愛する友人たちがイランや周辺国でいまなお活躍しているなか、米トランプ政権とイランの間での紛争が発生し、日々、彼らの発信するネットでの情報を頼りにしながら、現地の状況を心配して見つめています。無事に元気で帰ってきてほしいという気持ちでいっぱいです。

 このイランでの紛争において、日本ができることはわずかです。昨年イランのザリフ外相を迎えたのは、当時外相であった河野太郎さんで、いまは防衛相として、この紛争地域に海上自衛隊を派遣し、地域の安全を確保するための情報収集活動に従事させることになっています。エネルギーをいまなお中東地域に依存している日本にとってふさわしい国際貢献が求められるにあたり、一定の軍事力を現地に展開してエネルギー輸送を守ることは必須とも言え、まずは事態に機動的に対処できている河野太郎さんの決断の早さには頭が下がります。

 一方で、日本にできることはこれ以上なかなかないのです。米国との対立が深刻化するイランが核合意による核開発制限を放棄することはもはや避けられず、パワーバランスの変化が中東の安全保障を流動化させるリスクを高めていきます。米同盟国に対するイランの報復もまた考えられる中、比較的イランと友好的な関係を維持してきた日本も微妙な立場に立たされるのは当然のことです。

 そして、わが国の外務省や民間企業による現場の努力をもってしても、この混乱をコントロールできる立場に日本はありません。産経新聞は安倍晋三首相の言葉として「イラン、米軍基地攻撃『あらゆる外交努力重ねたい』」(「産経ニュース」8日)と伝えています。しかしながら、中東からのエネルギーに依存しているとしつつもわが国は通常の外交と現地日本人を通してぐらいしか情報のルートを持っておらず、諜報活動もあまり活発とはいえない状態です。果たして安倍さんが思うような影響力を本当に行使できるのかどうか。

 力の及ばない地域で起きた重大な出来事を、当事者意識を保ちながら報じることこそメディアの使命であると同時に、毎度これらの地域で事件が起きるたびに無力感を抱く理由についても、深く考えていきたいものです。

【プロフィル】山本一郎(やまもと・いちろう) 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所上席研究員。

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