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【朝晴れエッセー】愛犬まるこ・1月10日

 寝床に入って眠るときに、イヤホンで落語を聞く習慣がある。とりわけ眠りやすいのは、古今亭志ん朝。亡くなった名人には失礼であるが、心地よいリズムとメロディーが眠りを誘う。

 「元犬」という落語。真っ白な犬は人間に一番近く、「生まれ変わったら人間になるンだよ」と言われたシロ公が、蔵前八幡様に願掛けして本当に人間に生まれ変わる、というお話。

 わが家に同居する愛犬まるこは3歳。真っ白なふわふわした毛で全身おおわれている。鼻先は真っ黒で、少し灰色がかったまん丸の瞳がかわいらしい。

 いつもの寝床を抜け出して、われわれ夫婦の寝室に侵入してくることがある。妻のベッドにもぐりこみ、丸くなって寝息を立てている。

 ある夜、眠っていると妙齢の女性から話しかけられた。ふわふわとフリルのついたドレスのような洋服。

 それはよいとしてずいぶん親しげな物言いに、いやいやいや、初めてですよね? ところであなたはいったい誰? の問いかけに、

 「私です。私、まるこです」

 えー! うそー!

 「本当です。私の目を見てください」。

 確かに灰色がかったまん丸の瞳は、まるこそのもの。

 そうか、そうか。人間に生まれ変わったんやな、良かったな。良かった、良かった。

 と、そこで夢から覚めた。

 体を起こすとまるこは、妻のベッドの上でくうくうくう、と寝息を立てている。どうやら犬も夢を見るそうな。今度生まれ変わったら、人間になるンだよ。

池上雅俊 59 大阪府羽曳野市

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