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【日曜に書く】論説顧問・斎藤勉 「神畏れる国」「神をも恐れぬ国」

伊勢神宮内宮の宇治橋前の鳥居=伊勢市
伊勢神宮内宮の宇治橋前の鳥居=伊勢市

 ◆伊勢神宮での「神体験」

 天皇陛下の「即位礼正殿の儀」(令和元年10月22日)が始まる直前の午後1時前、にわかに雨が上がって晴れ間が見え、皇居上空にはご即位を祝福するかのように虹がかかった。

 それを聞いた瞬間、伊勢神宮の式年遷宮での「神体験」が脳裏をよぎった。平成25年10月2日夜、内宮の「遷御の儀」に招かれ、3千人の参列者と一緒に森閑とした真っ暗闇の森で式典を待っていた。午後8時、「カケコー」の鶏鳴三声(けいめいさんせい)を合図に、皇祖神の天照大御神のご神体を新宮へと移す渡御行列が動き出したその時、頭上で突然、一陣の風が舞い、森の一角がザワザワッと揺れたのである。

 私は驚いて夜空を見上げ、「神宮の粋な演出か?」と訝(いぶか)しみもした。が、周辺から「こりゃ何だ」などと呟(つぶや)きがもれ、私は「これは神が20年ぶりに表に出て、歓喜のあまり天空で舞い踊っているのだ」と勝手に感じ入った。現場取材した産経の記者は「『神』の存在を感じさせる出来事だった」と書いた。

 天皇、皇后両陛下の27年前のご成婚パレードの直前にも、夜来の雨がパタリと止んだ。神社本庁関係者は「実はこれまでも内宮、外宮の遷宮や出雲大社の大遷宮などで、しばしば理屈では説明しがたい天候の急変が起きている」と語っている。

 ◆安全保障こそ最大の福祉

 「何事の おわしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる」

 漂泊の歌人、西行が伊勢神宮参拝で詠んだ有名な短歌だ。昭和42年に参詣した英国の歴史学者、A・トインビーは「あらゆる宗教の根底にあるものを感じる」と、その神秘さを毛筆で記帳した。平成28年の伊勢志摩サミットに集(つど)った各国首脳も神宮で口々に「感動」を吐露した。

 突然現れる「虹」や「一陣の風」、「天候急変」という吉兆の背後に、目には見えない神のような存在を感じ取り、「かたじけない」と心で手を合わせる。それは草木一本にも神が宿る-と祈る信仰心と通底する。伊勢神宮に象徴される日本の国の、これが国柄というものだろう。「神を畏れる国」なのだ。

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