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【年のはじめに】政権長きゆえに尊からず 論説委員長・乾正人

「2019年報道写真展」の会場を訪れた安倍晋三首相=昨年12月21日、東京都中央区の日本橋三越本店(宮崎瑞穂撮影)
「2019年報道写真展」の会場を訪れた安倍晋三首相=昨年12月21日、東京都中央区の日本橋三越本店(宮崎瑞穂撮影)

 東京五輪の年が明けた。

 ピカピカの国立競技場では、こけら落としとして天皇杯サッカー決勝戦が行われる。3月から始まる聖火リレーが待ち遠しい。

 古代ギリシャでは、競技者や観客が無事に開催地にたどりつき、帰り着けるよう、オリンピック期間中、戦いを休んだという。その故事に倣い、先月の国連総会では、186カ国が共同提案国となって東京五輪期間中の休戦決議が採択された。

 決議には、せめてオリンピック・パラリンピックが開かれる7月下旬から9月上旬という短い期間だけでも世界が平和であってほしい、という切実な願いが込められている。

 だが、しかし。前回の東京五輪開催中だった昭和39年10月16日、中国が、初の核実験を新疆ウイグル自治区で強行したように、五輪の夢に世界が酔ってくれる保証はない。

 今年、世界情勢が激変するのは間違いない。というより、香港の民主化デモをはじめとする中国の人権問題、イランを震源とする中東危機、地球温暖化対策といった懸案に何も解決策が見いだせなかった昨年より事態が悪化する可能性が高いのだ。

 特に昨年末、4日間も続けて異例の党中央委員会総会を開いた北朝鮮の動きから目が離せない。

 米大統領選をにらみ、金正恩朝鮮労働党委員長が、トランプ大統領を揺さぶり続けるのは火を見るよりも明らかだ。融和路線を続けてきた大統領の堪忍袋の緒が切れ、朝鮮有事が起きないと誰が言えようか。

6年も参拝しないのは…

 こうした中、国際社会で安倍晋三首相にかかる期待は大きい。先進7カ国(G7)の指導者の多くが、国内に大きな問題を抱えて不安定な中、一人気を吐いている。

 だが、しかし。第2次安倍政権が足かけ9年目に突入し、首相在任日数の最長記録を更新したいま、秋元司衆院議員が逮捕されるなど足元でタガの緩みが顕在化してきた。

 先日、「正論」友の会の講演で広島を訪ねた際、会場からこんなご意見をいただいた。

 「憲法改正がいますぐに断行できない政治状況は分かります。習近平を国賓で招くのも経済重視で我慢しましょう。しかし、靖国神社を6年も参拝しないのは許せません。靖国参拝の上、習近平を国賓として迎えれば日中間の歴史問題は一気に片付くでしょう。それができなければ、総理を長くやる意味はない」

 私は黙って頷(うなず)くしかなかった。首相を強く支持し続けてきた「岩盤支持層」に失望感が広がっている。

 国のため尊い命を犠牲にした戦死者を篤(あつ)く弔うのは、為政者としての責務である。この当たり前のことが、なぜできないのか。

言語道断だった外務官僚

 戦後の靖国史を紐(ひも)解くと、現職首相の靖国参拝に反対したのは社会、共産両党を中心とした左派と朝日新聞などで、日本の左派に便乗する形で中国や韓国が反発したのである。

 さらに事態を悪化させたのは、「チャイナスクール」と呼ばれる外務官僚だったのが、先日公開された外交文書などで明らかになった。

 最もひどかったのは、中江要介元中国大使である。正月早々、死者に鞭(むち)打つのは本意ではないが、彼が中国側をあおったのは、間違いない。彼は生前、こう書いている。

 「天皇制を護ろうとした国体護持による敗戦が間違いであったのではないか、と私は思う。何が間違いかと言えば、天皇制を護持したために戦争責任があいまいになった、と私は思う」(「日中外交の証言」)

 見事なまでの「共産党」の論理である。彼だけではない。中国べったりの官僚や政治家は今も少なくないどころか、増殖している。

 中国企業から多額の現金をもらったとされる秋元某は氷山の一角だ。

 安倍首相は、よもや靖国参拝を断念した竹下登元首相のように外務官僚の言いなりにはなるまい。

 東京五輪のメイン会場である国立競技場の前身、神宮外苑競技場では、77年前の10月21日、学徒出陣壮行会が開かれている。多くの学徒が戦場に散り、靖国神社に祀(まつ)られた。

 平和の祭典を心から祝い、2度目の東京五輪を成功させるためにも首相にはやるべきことがある。

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