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【一筆多論】知の結集で危機に備えよ 渡辺浩生

 2020年の世界は「混沌(こんとん)」。年の瀬にいくつかのシンポジウムを駆け足で回った。そのときの印象だ。

 米中対立は続く。北朝鮮も不穏な空気だ。台湾への中国の干渉も激しさを増す。米国は大統領選に向け分断が拡大し、孤立主義の空気が漂う。香港の若者に触発され、アジアや中東にデモの嵐が吹き荒れる。日本では少子化が国を滅ぼしかねない速度で進む。

 「日本はどうしたらいいでしょうか」。会場では欧米の有識者に、日本側からこんな質問が必ず出た。

 「日本は控えめな傍観者的な役割に終始してはならない。英知を使って何かをするのはワシントン(米国)、北京(中国)の独占事項ではない」と答えたのは米政治学者のグレアム・アリソン氏だ。日本アカデメイア主催の第1回「東京会議」の壇上だった。

 米政府に人材を送り出すことで知られるハーバード・ケネディスクール初代院長。レーガン政権で国防長官顧問、クリントン政権で国防次官補を歴任した。

 最近では米中間の覇権争いが戦争に進む可能性を論じた著作「米中戦争前夜」が話題となった。国家安全保障の大家が日本の針路をどう語るのか。期待した出席者は答えに面食らったはずだ。老学者はつまり、いつまでも米国に頼らず、世界でどう生きるか、自分で知恵を集めて行動しなさい、と言いたかったのだ。

 思い出したのは、米国駐在中に取材したサマーズ国家経済会議委員長(当時)の講演での言葉だった。

 「米国が世界の中で独自に成功を遂げてきた源泉のひとつは、創造力に富み知的なエネルギーを国政課題に投じる能力だ」

 首都に集結するシンクタンクや研究機関では日々、政策論争が行われるが、役割はそれだけではない。

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