PR

ニュース コラム

【朝晴れエッセー】雑木林と世界遺産・12月30日

 団塊世代の一期生、何もかもが不足して大多数が裕福でない時代、子供たちは学校が安らぎの場であり、通学が楽しみの一つであった。

 そんな小学校も教室が不足して午前、午後に分けての二部授業。ある時は使用されていない警察署の畳の間が仮教室。隣接する留置所を見て「ここに入れられたら大変だ」と思った記憶もある。

 「先生、云(い)うこと聞かんかったら叩いてください」。現在ではご法度のこんな言葉が、母親から担任教師へのリクエスト。怖い先生は良い先生。担任の若いM先生はこれに答えるかのような熱血漢。多くの男子生徒が叱られ、泣きべそをかいた経験者だ。

 怖い半面、芸術肌の先生はしゃれていた。6年生の卒業前「お前らこの歌覚えておけ、晴れたる青空漂う雲よ…」今では一般的な第九を60年前の小学生に教えた。

 同窓会で「先生、今やったら暴力教師やで、ほんまや」。当時を懐かしみながら70歳を過ぎた生徒たち。

 思い出すと、当時の授業はかわいいもので標準語は皆無、質問も河内弁で敬語もなし。ある時一人の生徒が「先生、雑木林て何や」の質問、すかさず先生「見てみ、あんなのを云うんや」。窓の外にこんもりした藪山が見える。

 “雑木林と称した藪山”。これが令和元年に世界遺産に登録された「古市古墳群」の一角。誰一人「古墳群」の言葉さえ知らなかった“世界遺産”が生まれ育った遊び場に出現。

 齢を重ねた先生と、古希を終えたはな垂れ小僧たちを、「雑木林」は覚えているだろうか。

石田 昇二 71 大阪府富田林市

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ