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【新聞に喝!】「読解力ランク下落」原因究明の物足りなさ

平均得点の国際比較
平均得点の国際比較

□京都大学霊長類研究所教授・正高信男

 2年ぶりに拙著を上梓(じょうし)した。出版作業を担当してくれたのは、かつて私が指導した学生だった女性だが、作業を進めるなかで話がかみあわないことがあった。「あっ」と気づいたのは、彼女が横組みの本を作ろうとしていると分かったときだった。私は当然のように、縦組みを考えていた。改めて見直すと、大学で使う教科書を多く手がけるその版元では、横組みの出版物が多数派なのだ。

 とはいえ日本語の文章を左から右へ水平に文字を追いつつ文意を理解するのは、結構、労力を要する作業だ。20世紀半ばに生まれた私は幼少期から、日本語は上から下へつづられているものとして慣れ親しんできた。漱石や太宰の作品が横組みになったら味わえるのかとも思うが、21世紀に入ってかなりたつ今日でも国語教育の原則は変わっていないのだ。

 今月はじめ新聞各紙は、経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に2018年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の読解力で、日本は前回(3年前)の8位から15位へ急落したと報じた。異口同音にスマートフォンの急速な普及を要因にあげ、短い文しか書かなくなった、書籍離れが起きているなどと書き立てた。

 スマホと読解力の関係は否定できないと思うが、スマホの使用拡大は日本に限ったことではない。日本の子供はパソコンでの試験という形式になじみが薄いとの指摘はあったものの、ランクを大きく下げた、わが国独自の事情は何なのか、踏み込みの足りなさを残念に思った。

 テストはパソコン画面上に示された設問に回答する形式で、読解力の文章題も横組みだった由。縦書きの国語教育を受けてきた日本の子供は、他国の子供が必要としない労力を要すると思われる。

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