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【朝晴れエッセー】Aちゃんの手紙・12月29日

 今年3月、公立中学校の卒業式。例年、当保育園を卒園した生徒たちが卒業証書を持って、保護者と一緒に保育園を訪問してくれます。

 今年も当時園長をしていた私は、保育園へ出向きました。卒業証書を持ったAちゃん親子が笑顔で駆け寄り「卒業しました」と報告してくれました。Aちゃんはダウン症です。

 つぶらな瞳のかわいい女の子。入園当初は上手に会話はできなかったけど、3歳から入園して、お父さんお母さんの愛情いっぱいに育てられ、端(はた)で見てても仲の良い家族でした。

 ところが、年長組の運動会を間近に控えたある日、お父さんが突然に亡くなられました。私は、言葉を失い、ただ母子を慰めることしかできませんでした。運動会当日、Aちゃんは元気よく演技をし、お母さんは遺影を胸に、Aちゃんの演技を涙して見ていた姿が、今も鮮明に残っています。

 あれから9年。義務教育を終えたAちゃんは、今年4月から支援高等学校へ進学とのこと。

 お母さんが「園長先生、この手紙を読んで下さい」と手渡してくれました。それはAちゃんがお母さんに書いた手紙でした。そこにはお父さんお母さんへのお礼が書いてあり、文面の最後には「おかあさん〇〇〇保育園にはいらしてくれてありがとう」と書いてあったのです。

 決して上手とはいえない文字でしたが、心のこもった表現に圧倒され、涙で文字がかすみました。心奥深く表現できるすてきな子へと成長したAちゃん。万感の思いがこみ上げ、Aちゃん親子に幸多かれと祈るのでした。

中路 賞江(たかえ) 78 京都市伏見区

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