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【論壇時評】1月号 「大学入試改革」迷走を憂える 論説委員・岡部伸

今年1月の大学入試センター試験に臨む受験生ら。センター試験に代わる新共通テストのドタバタが続いている
今年1月の大学入試センター試験に臨む受験生ら。センター試験に代わる新共通テストのドタバタが続いている

 来年度から大学入学共通テストに導入予定だった英語民間試験が事実上の白紙になった。萩生田光一文部科学相の「身の丈に合わせて頑張って」と格差を容認するような発言に批判が集中したためだ。50万人が受ける試験を民間業者に委託する制度は採点の公平性が欠如する。国語や数学の記述式問題も文部科学省は導入を見送った。

 1月号の月刊各誌は、「『英語教育』が国を滅ぼす」(『文芸春秋』)、「英語入試ショック」(『中央公論』)などの特集を組んだ。

 文科省は、英語の「聞く・話す」はグローバル社会を生きていくために重要と強調するが、作家・数学者の藤原正彦は、『文芸春秋』で、「世界で一番英語がうまいのはイギリス人だ。なのにイギリスはほぼ二十世紀を通して経済的に斜陽だった。英語が世界一下手な日本人は、その間に最も大きい経済成長を遂げた」と反論する。

 「英語無能国民」が国内総生産(GDP)世界第3位で、自然科学で24人もノーベル賞を獲得した。藤原は「日本のノーベル賞科学者のほぼすべてが、小学校から大学院まで日本の学校に通い、科学の初歩から最先端までを、日本語で学び研究し、ノーベル賞に至った」と論じ、「経済界や政府は一体いつまで『グローバル人材育成』という愚論にしがみついているのだろうか」と批判する。

 明治大学教授の斎藤孝も、『中央公論』の対談で、「母語がありながら英語にこだわるのは、ある意味で植民地的な悲哀を感じます」と述べ、立教大学名誉教授の鳥飼玖美子も、「やたらと英語を話すことにこだわっていますね。これはもう、“自己植民地化”そのものだと思うときがあります」と応じた。

 斎藤は、「日本の医学教育は教科書も含めて最終段階まですべて日本語で受けられます(中略)。これこそ独立国・先進国の証しなんだと」と主張、鳥飼も「どの分野も母語である日本語で学ぶことができるのは幸せなことで、だからこそ、日本からノーベル賞受賞者が多く出ているんです」と日本語に自信と誇りを持つべきだと訴える。

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