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【記者発】一夜限りの舞台 社会部・緒方優子

 皇居・東御苑の「大嘗宮」=東京都千代田区(共同通信社ヘリから)
 皇居・東御苑の「大嘗宮」=東京都千代田区(共同通信社ヘリから)

 皇居の春秋の風物詩である乾通りの一般公開が8日、終わった。先月30日からの9日間で、訪れた人は38万人超。同日数で開催するようになった平成29年以降、秋では最多だったという。先行して始まった皇位継承に伴う一世一度の重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」の舞台、大嘗宮(だいじょうきゅう)の一般参観には78万人超が訪れており、相乗効果が大きかったようだ。

 入場口の坂下門周辺や宮内庁前の広場には連日、長蛇の列ができていたが、今は嘘のような静けさ。乾通りの木々は濃い赤や黄に染まった葉を一枚、また一枚と落としながら年の暮れを数えている。

 先月14、15日に行われた大嘗祭の中心的儀式「大嘗宮の儀」。当日、取材のため皇居・東御苑の森の中にいた。日が沈み、ピンクがかった夕空が薄紫に変わると、灯籠の明かりの中に木造の建物群が浮かび上がった。建物と同様、灯籠にも皮が付いたままの木材を使う「黒木造り」という古代工法が用いられたが、光源は発光ダイオード(LED)。参列者席として設営された頑丈なテント張りの「幄舎(あくしゃ)」では、防寒用のストーブが低音でうなっていた。

 古代と現代が入り交じる暗闇の中に、白い装束の天皇陛下のお姿がはっきりと見えたのは、ほんの一瞬。帳(とばり)の中で行われた儀式の中枢は、垣間見ることもできなかった。それでも、時折高く跳ねるかがり火の炎を見ながら、かすかに聞こえる楽師の歌や掌典の声、きぬ擦れの音に全神経を集中させ、陛下がささげられた「祈り」を想像した約1時間は、何時間にも感じられるほど印象深いものになった。

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