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ニュース コラム

【朝晴れエッセー】現金派・12月3日

 「あっ、これもとっておきたい」

 今やキャッシュレスの時代に、レジ店員の方の目の前で財布をかき混ぜ、まごまごする私。すみません、これには訳があるのです。ちょっとお待ちを。

 これからの時代、「五百円貯金」という言葉も死語になっていくのだろうか。

 高校生のときに五百円玉貯金を始めてから、今もそれは習慣のようになっている。それに加えて、長男の生まれた平成27年と、長女の生まれた平成30年の百円玉も集めている。将来の話の種のためだ。そして11月の初めには「令和元年」の硬貨が、やっと私の財布へと届き始めたので、それも集め出した。私はとても忙しい。

 財布の硬貨入れはまるで小さな社会のよう。

 私が生まれるより何年も早く、この世に出回っていた硬貨を見ると、一体どんな人たちと、どんな景色を見てきたのだろう、と想像がかき立てられる。

 祖母が私の年くらいのものだったら、高度成長期で荒波にもまれているだろうし、母の生まれた年くらいのものだったら、東京オリンピックの会場の景色も見ているかもしれない。

 私と同じ年のものだったら、めまぐるしく変化した平成の時代を転がってきたよね、と勝手に共感の思いを向ける。

 縁あって今この財布にいる硬貨たち。私は今日も頑張るよ。あなたたちもまた、この世界へ飛び出し、活躍しておくれ。

 私がいなくなり、世代が変わっても、どうか子供たちが過ごしやすい世界に一役買っておくれ。

 そんな大きな願いを託し、今日も小さな社会のチャックを開ける。私はこの楽しみがある限り、キャッシュレスの時代には染まりきれないだろう。

本田 和美 33 大阪市旭区

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