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【主張】新国立競技場 五輪の記憶を後世に残せ

 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場が完成した。

 待望のナショナルスタジアムだ。日本スポーツ界の新たな「聖地」であり、わが国の「顔」でもある。国民の手で長く活用される競技場へと育ててゆきたい。

 大成建設などの共同事業体(JV)が、平成28年12月の着工から約3年で完成させた。日本の高い技術力を示した関係者の努力は、称賛に値する。

 当初の計画は総工費の膨張から白紙撤回され、開催準備停滞の象徴となっていた。開幕が迫る中、今度はマラソン・競歩の札幌開催という問題が盛り上がりに水を差している。本番への期待感を高める上でも、新国立の完成を追い風にしなければならない。

 建築家の隈研吾氏が手掛けた競技場は、「杜(もり)のスタジアム」という理念が示すように木材が多く使われ、日本らしさがにじみ出るたたずまいとなっている。風の通りがよく、暑さ対策にも抜かりはない。フィールドに近い3層構造の観客席は、選手と観客が一体となり、感動と興奮を分かち合える空間を約束してくれるはずだ。

 総工費は1569億円となる見込みで、年間約24億円と試算される維持管理費も新たなコストとして加わる。運営権を民間事業者に委ね、集客力の高いコンサートの開催など幅広い活用方法を検討するのは理解できる。政府が球技専用のスタジアムに改修する方針を固めているのも、採算面を重視するからだ。

 しかし、陸上トラックの撤去を前提とした議論は、やはり拙速である。旧国立が選手たちの憧れの場所であり続けたのは、昭和39(1964)年の東京五輪が行われた競技場という強い磁力があったからだ。マラソンの円谷幸吉はトラックで英国選手と競り合い、3位でゴールした。旧国立は、先人の激闘の記憶が詰まった場所でもあったのだ。

 2020年東京五輪の記憶を後世に語り継ぐ「聖地」として、新国立のあり方を模索するのは、国民に課された宿題である。

 大会の成否は、感動と興奮の記憶を後世に残せるかどうかに懸かっている。約6万席を観客で埋め尽くし、それに応える日本選手団の活躍があれば、新国立も五輪の記憶を宿す遺産として、長く国民に愛され続けるはずだ。

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