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【日曜に書く】若冲はウミテングを見たか 論説委員・山上直子

 ◆出無精の娯楽知らず

 「琴平と高松は近いから『衆鱗図』を見たかもしれない」。ところが「衆鱗図」にない魚もあり、それらは実際に見て描いたとしか思えないらしい。

 例えばウミテング。「群魚図」では、赤く色鮮やかなマダイの後方に描かれた、目立たない黄褐色の小魚である。長く突き出した額が特徴で、実物も手のひらに乗るほど小さい。生息地は遠く伊豆~小笠原諸島、琉球列島などだ。京都に近い所では紀州(和歌山県)太平洋沿岸で見ることができるという。

 従来、若冲は出無精で旅を好まず、ほとんど京都を出なかったとされてきた。俗事を嫌って山奥に2年ほど隠棲(いんせい)したという逸話もある。家業を継いだものの絵画に傾倒し、40歳で隠居。生涯独身を通し、友人で支援者でもあった臨済宗相国寺の僧・大典顕常(だいてん・けんじょう)は「人の楽しむ娯楽にも全く興味がない」とその人となりを書き残している。

 分かっている足跡は琴平のほか、大阪(西福寺、木村蒹葭堂(けんかどう))、京都・伏見など。紀州を訪れたという“証拠”はない。

 若冲研究の第一人者で東京大学名誉教授の辻惟雄(のぶお)さんに聞いてみた。すると円山応挙やその弟子・長沢蘆雪の絵で知られる和歌山の寺には若冲の作品があるという。「草堂寺(白浜町)や無量寺(串本町)に若冲の絵があるんです。なぜあんなところにあるのか。行った可能性はあるかもしれません」

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