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【風を読む】看板倒れの入試改革 論説副委員長・沢辺隆雄

大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入延期について記者会見する萩生田文科相=1日午前、文科省(古厩正樹撮影)
大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入延期について記者会見する萩生田文科相=1日午前、文科省(古厩正樹撮影)

 教育界では大学入試が変われば小中高校の教育も変わる-と大学入試改革に期待する向きも多いよう。しかし、弊紙論説委員室では「大学入試は官僚らが手をつける度に悪くなる」と入試改革に否定的な意見が強い。

 5年ほど前、政府の教育再生実行会議が「1点刻み」「一発勝負」の見直しなどを掲げて始まった今回の入試改革に対しても「1点」「一発」の何が悪いと、先輩や同僚から評判が悪く、私が文部科学省の身代わりになって怒られてきた。

 1点に泣き、1点に笑うのは受験界のみならず、社会の常識である。一発勝負にたじろがない実力を身に付けることこそ教育だ。そうした競争から目を背けるのは、浮世離れした教育界の住人くらいだ。「競争」を嫌う一部メディアもあるが、週刊誌は大学合格ランキングなどが大好きだ。

 入試改革は迷走し、看板倒れと言わざる得ない。当初、大学入試センター試験に代わる新共通テストは思考力を重視した内容に変えるほか、年複数回実施して受験機会を増やすはずだった。それに伴い、各大学の2次試験など個別試験は、面接や小論文などで多面的に評価するよう求めていた。

 米国の大学入試の統一テストをお手本にしたようだが、ハーバード大などトップ校に入学する学生は統一テストで高得点をとる学力があったうえで、社会貢献活動などが評価されるといわれる。大学側の入試選抜の専門スタッフが充実し、時間をかけ丁寧に行われる。そして入学してから厳しい教育が待っている。日本の大学は入試は厳しく、卒業はやさしいとされてきた。入試もやさしくなっては、大学の劣化が進むだけではないか。

 新共通テストをめぐって、年複数回実施は、高校の授業や行事に支障がでるなどの反対があり頓挫した。記述式の出題を加えることについても、採点に時間がかかり日程確保が難しく、国語と数学の一部に限る極めて中途半端な内容になった。2次試験は「人物重視」などと言い、共通テストに多くを求めすぎた。記述式の評価は1点刻み見直しを引きずり、A、B、Cなど段階別で評価するというが、かえって分かりにくい。大学入試は1点を大切にシンプルに見直してほしい。

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