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【スポーツ茶論】「虹の国」は生きている 黒沢潤

ラグビー・ワールドカップで優勝した南アフリカのシヤ・コリシ主将=2日、横浜市
ラグビー・ワールドカップで優勝した南アフリカのシヤ・コリシ主将=2日、横浜市

 1996年のクリスマス時期に、世界一治安が悪いと恐れられた南アフリカ・ヨハネスブルクの空港に降り立った。タクシーで市内のホテルに到着し、後部座席のドアがあくと、運転手が突然、「走れ!」と叫んだ。何事かと思って聞くと、「ホテルの玄関までわずか5メートルの間に強盗に遭う」と、真顔で忠告された。

 その5年前、卑劣なアパルトヘイト(人種隔離)政策が撤廃され、ネルソン・マンデラ氏が大統領に選出されていた。だが治安は改善されず、経済は停滞。「これではアパルトヘイト時代の方がよかった…」と、ある黒人住民が漏らした言葉が印象に残った。

 こうした状況は今も十分には改善されていない。人種間の緊張はくすぶり続け、所得格差も深刻。失業率は29%だ。治安悪化も招き2017年度の殺人は2万336件(1日約56件)。白人の国外流出も相次いでいる。在南ア外交筋は「(新国家建設から)25年しかたっておらず曲折が続いている。(官庁などの)40代の課長クラスは25年前は階級闘争をしていた人々で、適切な教育を受けていない人もいる。(融合国家の真の建設には)10~20年かかる」と語る。

 そんな現実が重くのしかかるだけに、南アがラグビー・ワールドカップ(W杯)で優勝すると、同国史上初の黒人主将、シヤ・コリシは抑え切れない感情を爆発させた。「私たちは母国で多くの問題を抱えている。このチームは多くの違ったバックグラウンド、違った人種で成り立つが、一つのゴールを目指してやってきたし、それ(優勝)を実現したかった」。コリシは大会名誉総裁の秋篠宮さまから優勝杯を受け取ると、横浜の夜空に高々と突き上げた。

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