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【記者発】「退屈」な株式市場「大納会」は… 経済本部・米沢文

日本銀行本店=東京都中央区(早坂洋祐撮影)
日本銀行本店=東京都中央区(早坂洋祐撮影)

 今月に入って日経平均株価が昨秋以来の高値をつける日が続く。最大の株価押し上げ要因は米中貿易交渉の進展期待の高まりだ。米大統領選まで残り1年を切り、トランプ大統領が対中姿勢を軟化させていることが大きい。米国では、ダウ工業株30種平均が最高値圏で推移している。

 ただ、リーマン・ショック後のジェットコースターのような株価乱高下や日本銀行の最初の追加緩和「黒田バズーカ」による上昇相場を経験した記者としては、今の東京株式市場の状況は少し物足りないというのが正直なところだ。最近の傾向はよく言えば「安定的」、悪く言えば「値動きに乏しく退屈」だ。

 なぜ、株式相場は退屈になってしまったのか。よく指摘されるのが、日銀が金融緩和の一環で続けている上場投資信託(ETF)の大規模な買い入れだ。株価が下がるたびに日銀が買うため、株価が下がりにくくなっている。

 このため、日経平均や東証株価指数などの株価指数に連動するように運用する投資信託が安定的な収益を重視する投資家の支持を集めている。個別のリスクを取りに行く積極的な運用よりも、安定的な運用が主流になり、市場のダイナミズムをそいでいる。

 退屈な相場が続いていることで最近、2通りの声を聞く機会が増えてきた。

 ひとつは投資初心者の「株価って一体何を反映しているの?」という素朴な疑問だ。生活実感と安定的な株式相場の関係性が見えにくくなっていることが原因といえる。

 一方、金融市場の専門家からは「仕事がなくなった」という声をよく聞く。ある株式ストラテジストは「株価がいつ変動するのか当てるのが仕事なのに、金融緩和の弊害でそれができない」とこぼす。金融政策専門のエコノミストは「日銀ではなく、永田町を回ろうかな」と皮肉る。活躍の場を求めて変動の大きい暗号資産(仮想通貨)にくら替えする人も出てきた。

 これは私にとっても同様で、以前と比べると相場の解説記事を書く機会は大幅に減っている。株価は「景気の先行指標」とも言われ、景況感を左右する働きを持っている。年末の「大納会」は令和の始まりの1年にふさわしく、活気のある相場で幕引きできるように願っている。

【プロフィル】米沢文

 平成16年入社。20年から東京本社経済本部。これまでに日本航空の経営破綻や日本銀行の大規模金融緩和などを取材。今年1月から、金融業界を担当。

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